災害に強い街づくりを/省エネ普及促進講座
ガス燃料の有用性共有
専門家「BCP対策」提案
一般財団法人「省エネルギーセンター」(東京都港区)が主催する講座「省エネトータル課題解決とBCP対策」が28日、JTAドーム宮古島で開かれた。各分野の専門家が省エネの現状および「BCP」(企業が定める災害時用の業務継続計画)対策を提案。停電時でも電力を生み出せる自立型ガス燃料機器の有用性や最適なエネルギー選択の重要性を説きながら災害に強い街づくりを訴えた。
この講座は、エネルギーコストの費用対効果のみにとらわれない省エネや、企業が自然災害などの緊急時に用いる対応マニュアルを指すBCP対策の一助にしてもらうことが狙い。
りゅうせきとENEOSグローブが協賛し、講座には工場等のエネルギー管理者や管理員、使用設備の運転・保守・点検等を担当している社員が参加した。
省エネについては省エネルギーセンター省エネ支援サービス本部の鈴木伸隆さんが講話した。高効率の機器を導入しても、運用次第では省エネ効果が十分に発揮できないと指摘。使用する電力の大きさや頻度、建物の規模などを総合的に勘案した上で「ベストミックスを考えること。それぞれに合った最適な機器を選ぶことが大切」と訴え、入り口から出口まで電力の流れを「見える化」することに伴う運用改善を勧めた。
ENEOSグローブリテール企画部リテールサポートグループマネージャーの島村剛史さんはBCP対策を考慮した最適なエネルギー選択について話した。
災害対応という視点で見ると、一つのエネルギーでは「途絶した際のリスクが甚大になる」と強調。災害時に企業の事業活動に必須となるインフラを回復する手段として①常に貯留が可能②長期保存に耐えられる-ことの重要性を挙げながらLPガスを紹介し、「選択肢に組み入れても良いのではないか」と提案した。
ガスを燃料として使用するGHP(ガスヒートポンプエアコン)は、学校や官公庁などの施設に導入されている事例があり、災害時の電力確保という点でも注目を集めている。ヤンマーエネルギーシステムの空調システム営業部営業グループ課長を務める齋藤雅晴さんが、消費電力が90%削減されることや、停電時対応として避難所等で機能を発揮する利点を挙げた。
三浦工業沖縄支店沖縄メンテナンス課長の岩永健一郎さんは、ボイラ設備の省エネをテーマに講話した。
参加者はテーマごとの講話を熱心に聞き、省エネとBCP対策の知見および実例の吸収に努めていた。