債券運用で初の売却益/宮古島市
利益2億円生み出す/財政調整基金を活用
宮古島市が、債券運用で2億1100万円の売却益を出した。財政調整基金の約3割(2018年度末決算ベース)に当たる35億円を原資に購入した公共債を売って利益を得た。比較的安全性の高い債券を効率的に運用して資産を増やした形だ。市は16年度から債券を運用しているが、売却益を出すのは初めて。6日に開かれた市議会総務財政委員会で財政課が説明し、運用経過の詳細が分かった。
公共債とは、国や地方公共団体が財源等を補うためにお金を借り入れる際に発行する債券を指す。国が発行すれば国債、地方公共団体なら地方債で、これらを総じて公共債と呼ぶ。
公共債は、満期まで保有すれば利子と償還日における元本(額面)が保証されるため信用度が高い。
一方、金利変動等による債券価格の下落で、満期日前に売却した場合は投資元本を割り込むという点がデメリットに挙げられる。
ただ、元本割れを知りながら債券を売却することは考えにくく、このような場合は債券の満期保有で元本を取り戻せることから大きな短所にはならない。
債券を発行する自治体の破綻に伴う債務不履行リスクもゼロではないが、株式や投資信託などの投資手段と比べれば債券運用の安全性は高く、全国各地の自治体に広がっている。
市は16年度に運用を始めた。毎年5~7月に協議して安全かつ効率的な運用を基本に上限額を決め、証券会社の助言を得ながら公共債を購入しているという。
今回市が売却した公共債は、その安全性の高さから多くの自治体が購入している地方公共団体金融機構債のほか政府保証日本高速道路保有・債務返済機構債ならびに新潟県、福岡県、広島市、大阪府の地方債。
それぞれ購入当時の単価は100円で、額面の購入額は▽地方公共団体金融機構債5億円▽日本高速道路保有・債務返済機構債10億円▽新潟県9億円▽広島市7億円▽大阪府3億円▽福岡県1億円-だった。
これらの債券の単価が今年8月には104~106円に上昇。この機会を見極め、保有する債券を初めて売って2億1100万円の売却益を得ている。
こういった運用経過は6日の総務財政委員会で國仲昌二氏が説明を求めたことで分かった。自治体の貯金に当たる財政調整基金を原資にしているが、安全性の高い債券運用に伴う売却益の計上に、各委員の受け止めは好意的だった。