「幸せ帽子」で温かく
宮総実生徒 がん患者にプレゼント/宮古病院に贈る
「少しでも笑顔になってほしいから」-。宮古総合実業高校生活福祉科の生徒が25日午後、県立宮古病院を訪れて、がんと闘う患者に「ハッピーキャップ」を贈った。35個すべてが手作りで、その一つ一つに思いを込めた。そんな生徒たちのクリスマスプレゼントに中山幸子副院長は「みんなの温かい気持ちが本当にうれしい」と感謝し、社会貢献活動に取り組む生徒たちの姿に目を細めた。
宮総実生徒によるハッピーキャップづくりは毎年の恒例。化学療法で脱毛などがある患者のために、肌荒れを起こしやすい毛糸ではなくタオル地でつくる。
デザインにもこだわるためタオルの仕入れが最初の仕事だという。縫い始めるのは秋に入ってから。今年は女子6人が主に裁縫作業を担い、男子2人が検品と袋詰めを担当した。メッセージを書く生徒を含めると約70人が関わった。
例年なら、がん患者団体の「まんま宮古」と「ゆうかぎの会」の皆さんから作り方を教わっているが、今年は裁縫教室の日程を調整できずに作業の取りやめが検討された。そんな状況下でも生徒たちの強い希望で継続。昨年経験した生徒を中心に、できる範囲で35個の帽子を作り上げた。
宮古病院のロビーで行われた贈呈式で、2年生の友利櫻さんは「この帽子を活用して暖かい冬を過ごしてほしい」と思いを寄せた。
3年間活動を続けた砂川希さんは「笑顔になってもらいたいという気持ちを込めて縫いました。みんなが少しでもハッピーになってくれたらうれしい」と飛び切りの笑顔を見せた。作業の中止が検討されたことにも触れ、「自分たちだけの作業は心配だったけど、9年間続けてきた活動を途絶えさせたくなかった。後輩の皆さんも頑張って続けてほしい」と切望した。
帽子を受け取った中山副院長は「この帽子は闘っている患者さんにしっかり届けます」と約束。「取りやめの話があったのに、皆さんが自分たちだけでも作りたいと言って活動を続けたことは本当にすごい」とたたえ、感謝状を贈った。
ハッピーキャップは、宮古病院のほか、島外の県立病院でも活用される。