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社会・全般
2019年12月28日(土)8:54

【行雲流水】(元号)

 江戸時代、元号は徳川幕府が天皇に奏上することで決まったようだが慶応3(1867)年、大政奉還の翌年「慶応4年を改めて明治元年となす」と「一世一元の詔(みことのり)」が出され天皇自らくじで決定したといわれる「明治」が1868年1月から始まることになった


▼法的根拠のない元号決定のあり方を変えたのが明治42年に公布された「登極令(とうきょくれい)」である。登極令第2条に天皇即位の後は直ちに元号を改める、と定めている。大正、昭和はこの法令に基づいて皇室が決めたが、昭和20年太平洋戦争の終結で日本占領に乗り込んできたマッカーサーの率いるGHQは大日本帝国憲法をはじめ多くの法律を廃止した。その中には登極令も含まれる

▼それによって戦後の混乱期には元号廃止論まで飛び出す状況であったが昭和54年「元号法」が公布されて元号制定の法的根拠が確定した。元号法で「元号は、政令で定める」と明記された

▼皇室が決めていた元号を内閣が決めるということだ。平成31年4月1日、内閣総理大臣安倍晋三の名で「元号を令和に改める」政令が公布され5月1日徳仁天皇が即位されて令和時代の幕開けを国中が祝った▼祝賀に沸く日本列島を襲った台風19号が甚大な被害をもたらしたのは10月の初旬であった。31日の深夜には首里城が炎上するという惨事が起こっている

▼改元に際しての内閣総理大臣の談話の一節「元号は、日本国民の精神的な一体感を支えるものとなっています」は苛烈な災害を幾度も乗り越えてきた日本国民の心のよりどころとしての元号の意義を指摘したものだ。もうすぐ令和2年、穏やかな年であれと願う。(凡)


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