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社会・全般
2020年1月9日(木)8:57

【行雲流水】(新春夢想)

 今年は、東京オリンピック・パラリンピック開催の年。正月番組でみる今年の景気見通しは「晴れのち曇り」のようだ。とはいえ、経済は生きもの。経済をとりまく環境は日ごとに変わる。世界と連動して動く側面もあるので、予測通りになるとは限らない


▼離島という地理的環境下にある宮古の場合はどうだろうか。従来は、人口の過疎化傾向がみられた。高齢者に依存した農業中心の産業構造のもとでは、サトウキビ価格の動向が定住条件を左右していた

▼ところが、今や観光客が年間100万人を突破。産業構造は、都市型へと変貌しつつある。観光客は自然景観の美しさに憧れて訪れるが、付随して起こる産業は都市型産業だ。今年は、観光需要を取り込んで宮古経済全体の底上げをどう図るかが課題になりそうだ

▼たとえば飲食業界では、宮古島を印象づける料理の研究開発が盛んになるであろう。食(味)の世界は奥が深い。宮古島産の食材を生かした料理の競演が始まる予感がする

▼農家では、飲食業界のニーズに合わせた食材の生産が求められるであろう。農業の世界は本来、知識が価値を生む「知価社会」だ。土壌・病害虫・温度・給水・施肥などキメ細かな知識に支えられている。観光需要は、農家と農協・研究機関・行政が一体となって知的世界へと跳躍する契機となるかもしれない

▼研究開発は、職業人の日頃の探求心から生まれる。単なる「儲け」だけが目的ではない。創り育てる喜び、評価される喜びが根底にある。あるいは、家庭の台所に創意工夫の原点があるのかもしれない。(柳)


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