宮古観光の可能性探る/100万人達成記念シンポ
5氏が振興策を提言/「急変に後追い対応」指摘も
宮古島市への入域観光客が2018年度(18年4月~19年3月)に114万人を記録し、初めて100万人を達成したことを記念した観光シンポジウムが28日、マティダ市民劇場であった。5氏が登壇し、将来の観光振興について提言した。会場には中高生約400人と観光関係者、市民らが入場し、耳を傾けた。
シンポジウムは長濱政治副市長、JTB沖縄の杉本健次社長、下地島エアポートマネジメントの伴野賢太郎社長、台湾長栄大学の管美燕秘書長、パラダイスプランの西里長治社長が登壇し、進行役はJTB総合研究所の篠崎宏研究理事が務めた。
長濱副市長は「伊良部大橋の開通を契機として大きく伸びた。クルーズ船旅行の波と誘致活動の結果だろう。課題もあるが、急激に伸びたために後追いの対応になっている。今後、しっかり対応していきたい」と話した。杉本氏は「観光客の満足度を上げるのは地元のおもてなしの心が重要。観光は経済波及効果が大きく、観光客が増えることで地元も潤う」と話した。伴野氏は「将来、空港利用者は270万人と予測されている。下地島空港は宮古空港を補完する役割を担い、観光客に特化した空港を目指している」と話した。管氏は「人口減少の時代には、交流人口を増やすことが経済成長維持のために必要で、観光は有効な手段」とし、また宮古島分校を同大の海外教育拠点にする構想を説明した。西里氏は「宮古島では農業ができる。農家が生産物を観光客に販売しもうかるように農業と観光をリンクさせることが大事」と話した。
開会あいさつした下地敏彦市長は「宮古島を訪れる観光客はこの5年間で倍増している。昨年は下地島空港ターミナルが開業し、成田、香港との定期路線、韓国、台湾とのチャーター便が実現した。今年の春には平良港に接岸できなかった大型クルーズ船も接岸できるようになる。これからも宮古島市の観光が発展することが期待される」と述べた。中国で発生した新型肺炎については「クルーズ船の寄港がキャンセルとなっており、経済的影響が心配されている」と警戒感を示した。
市の入域観光客は2015年1月の伊良部大橋開通を契機に伸びが顕著になり、また16年からは外国からの大型クルーズ船の寄港が急増し、伴って入域観光客が増え続けている。19年度も12月までに約92万人が来島しており、2年連続の100万人突破は確実視されている。