「残念、仕方ない」/トライ大会中止
選手落胆も理解示す/「練習積み来年会おう」
「残念だが、仕方ない」-。2日に中止が正式に決まった今年のトライアスロン宮古島大会。本番まで約1カ月半に迫った中での決定に、出場予定だった選手たちからため息が漏れた。自分だけの記念大会と位置付けていた選手も多く落胆の声も聞こえたが、「世界一安全な大会」の継続に理解を示した。「1年間練習を積んで、来年会おう」と前向きに気持ちを切り替えた。
宮古島トライアスロンクラブ会長の福嶺雅春さんは、今年が年齢制限上限の65歳。9年ぶり14回目の出場予定だった。
今大会には息子と共に出場し、一緒にゴールしようと意気込んでいたが、中止の可能性の報道を見て落ち込んでいたという。
しかし、今年出場予定だった65歳の選手は、特例として来年の出場権が与えられると聞いて大喜び。「心を切らさずに練習に励みたい」と笑顔を見せた。
21回連続出場予定だった江戸千景さん(55)は「トレーニングを積み、楽しみにしていたが、仕方ない」と話した。
江戸さんの職業は医療関係。「島民の健康を守るためにも中止は英断だったと感謝している」と実行委の判断に理解を示した。
大会参加料の全額返金については「いろいろと準備で経費が掛かっているのに全額返金は申し訳ないくらい」と感謝の気持ちを表した。
洲鎌菜保子さん(60)は2月28日、大会専門委員会の結果を伝える新聞から目をそらした。間もなく涙がぽろぽろこぼれたという。
12年ぶりだった。しかも還暦を記念する一生に一度の大会だった。中止の正式決定を聞き「覚悟はしていたけど残念。1%の可能性をどこかで信じていたから」と肩を落とし、「還暦記念は幻になったが、切り替えて来年の大会を目指します」と前を向いた。
宮古のトライに憧れて定年退職後、移住し「地元」から出場を果たしたことがある丹下祐壮さん(65、愛知県)は「残念だが、現時点でみれば大局的な視野に立った良い判断だと思う」と評価した。
昨年大会はバイクでリタイア。今大会は年齢制限で最後になることから、リベンジに燃えていたという。
来年は出場権が得られることを知らされると「1年間練習に励み、捲土(けんど)重来を果たしたい」と決意を示した。
大会の開・閉会式の進行役を務めてきた黒澤秀男さんは「宮古島のトライは世界一安全な大会がキーワード」と中止に理解を示し、「大会を続けていけばまた会える。1年間練習を積んで、来年会おう」と選手たちに呼び掛けた。