県農林漁業賞に宮古3組/園芸は渡真利さん夫婦
漁業・漢那さん 複合経営・津嘉山さん
県は10日、2019年度県農林漁業賞の受賞者を発表した。宮古島市からは園芸部門で渡真利兼・市子さん夫婦、漁業部門では前伊良部漁協組合長でカツオ一本釣り漁師の漢那一浩さんがそれぞれ受賞した。農山漁村地域活性化部門においては、農業、畜産、特産品加工など複合農家経営を展開している多良間村の津嘉山光子さんが選ばれた。
県農林漁業賞は、経営改善や生産技術の近代化および協業化を推進し、特に優秀な実績を収めた農家や漁業者を表彰する制度だ。県内農林水産業を盛り上げることが狙いで、19年度は9個人2団体が受賞した。
園芸部門で受賞した渡真利さん夫婦の主な生産品目はゴーヤー。土づくりの徹底や基本的な管理技術の実践で高品質、高収量のゴーヤーを生産し、12年度には県野菜品評会で農林水産大臣賞を受賞している。
ゴーヤーの生産拡大による地域ブランドの確立はもとより、担い手の育成活動にも積極的に取り組むなど次代の農業振興に尽くす姿勢が高く評価された。
今回の受賞について兼さんは「この賞は、私にゴーヤーのすべてを教えてくれた先輩方のおかげであり感謝しかない」と謙そん。加えて「ここまで生産拡大することができたのは、隣に妻がいたから。こうして夫婦で受賞できたことは大きな誇りになった。これからも島の農業の発展のために頑張りたい」と話した。
一方の市子さんは「これからも主人と一緒に、『おいしい』と言ってもらえるゴーヤーをたくさん作っていきたい」と笑顔だった。
漁業部門で受賞した漢那さんは漁業歴約40年のベテラン。カツオ一本釣りに従事している。パヤオ漁業の導入・普及に多大な貢献があったほか、伊良部漁協組合長を3期務めて漁業の良さを各地に発信、地域漁業の振興に努めてきた。
漢那さんは「地域の皆さんと漁業者のおかげ。本当に感謝している」と受賞を喜び、「カツオ一本釣りには強い思い入れがある。課題は山積しているが、これからも私にできる限りの範囲で漁業の発展に尽くしていきたい」と語った。
多良間村の津嘉山さんは島野菜の自給拡大運動や郷土料理の継承、地域産物を活用した加工品づくりを通して島の食文化を守り続けている。島の伝統菓子「ぱなぱんぴん」や「うーやきがーす」も手掛けているほかサトウキビ栽培や肉用牛も飼養。複合経営の模範として高い評価を得た。
受賞に津嘉山さんは「私がもらえるような賞なのかと今も信じられない。これまで頑張ってきたことへのご褒美なのでしょうか」と賞の重さをかみしめた。その上で「先輩方が大切に守り続けた特産品を絶対に途切れさせてはいけないという気持ちでやってきた。私も次の世代へしっかり伝えていきたい」と特産への思い入れを決意に込めた。
表彰式は当初、12日に県庁で予定されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中止となった。