「不安を与えおわび」/JAおきなわ
子牛DNA不一致で
【那覇支社】久米島家畜市場から出荷された子牛が、登録されていた希少血統の「安福久」と異なっていた事案で13日、同市場を運営するJAおきなわは那覇市で会見を開いた。普天間朝重理事長は「今後、同様の事態を招かないよう県を通して(人工)受精師の指導と厳格性を求める。生産農家や購買者、消費者に不安を与える結果となったことに深くおわびする」と陳謝した。
JAおきなわによると、昨年6月と12月、久米島町の人工授精師が手掛けた牛についてDNAの不一致があると報告があったという。JAは、6月の事案では作業ミスの事故として判断し、購買者に補償などを行った。
普天間理事長は「(12月にDNAの)不一致が再度発生したため疑問に思い、県家畜改良協会に報告した。1月の競りは、当該人工授精師が人工授精を行った子牛を上場しない措置を講じて開催した」と述べた。
また、県家畜改良協会が進める同受精師の手掛けた子牛と母牛のDNA鑑定が4月ごろに判明するとした上で「(それまでは)同受精師が人工授精した子牛について市場への上場を禁止する措置を取り、購買者の不信感を招かないよう対応する」とした。
記者団から出た「県への報告が遅れたのではないか」との質問に対して、JAおきなわの担当者は「12月の時点で県家畜改良協会、久米島和牛改良組合と協議を行っている。県へは同改良協会が報告すると思っていた」と述べた。
県の担当者は同日、2月に同受精師について立ち入り検査を行ったことを明らかにした。ただ、記録簿に母牛の名前が記録されていないなどの不備があり、調査に時間がかかっているという。
また、県への連絡は家畜改良組合から入る体制になっているとしたほか「速やかに報告があるように体制を改善していきたい」と述べた。
一方、玉城デニー知事は、同日の定例記者会見で「現時点で10件のDNA不一致を確認している。肉用牛の子牛産地としての信頼を損ねる極めて重大な事案と認識している」と述べた。
その上で「私は常々、『報告・連絡・相談』の徹底を職員に対して指示している。きのう、各部局長を集めて緊急の全庁会議を開催し、危機管理体制の認識の徹底について改めて指示した」と強調した。会見では、玉城知事に報告があったのは12日だったことも明らかになった。