母牛147頭の鼻紋採取へ/宮古島市
信頼維持へ登録証と照合/種付け規定違反受け対策
優良種雄の血統として久米島から出荷された一部の子牛が別の血統だった事案で、宮古島市は17日、市役所平良庁舎に関係機関を集めて会合を開いた。協議の結果、市内で飼養されている肉用牛のうち、個体識別番号を示す耳標(両耳への装着が原則)が二つとも欠落している母牛147頭の鼻紋を採取。登録証と照合し、血統を確かめながら耳標装着の徹底を促す。今後1週間をめどに作業を行う。
この事案は、久米島町内の一部の人工授精師が規定に反する種付けを行い、血統の違う牛が出回ったというもの。希少価値の高い種雄牛「安福久」の血統牛として出荷された子牛が別の血統だったという。
事態を重く見た市が緊急会合を招集。県、JAおきなわ、県家畜人工授精師協会宮古支部、宮古和牛改良組合の代表らが集まって今後の対策を協議した。
市内で飼養する肉用牛が厳格な管理下にあることを証明するため、事前の調査で両耳の耳標が欠落している母牛すべての鼻紋を取ることを決した。これを登録証と照合することで当該牛の血統を確かめる。
久米島町で発覚したように、人工授精の手順そのものを誤って種付けしていた場合は、鼻紋を照合しても正確な血統の証明にはならない。この場合はDNA鑑定が必要になる。ただ、鼻紋の照合と耳標装着の徹底によって管内の肉用牛を厳格に管理している現状を内外に示せる。「やれることは何でもやる」(下地敏彦市長)という取り組みを通して信頼の低下を抑える。
市畜産課を中心に作業班を組み、向こう1週間で対象となる147頭の鼻紋を取る。耳標の完全装着の指導も行う。27日の畜産技術員会定例会では中・長期的な対応を協議する。
17日午後に開いた会合で下地市長は「疑いを持たれかねない信頼に関わる深刻な事態だ」と強い口調で行動を促し、「耳標のない牛はしっかり照合して安心できる形にしていこう。早急にやるべきだ」と話した。