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社会・全般
2020年3月18日(水)18:32

来間大橋開通25周年企画㊤

島の生活支え四半世紀
もたらされた恩恵と課題


島の社会と島民の生活を支えて四半世紀の節目を迎えた来間大橋

島の社会と島民の生活を支えて四半世紀の節目を迎えた来間大橋

 宮古地区における2番目の大橋として1995年3月13日に開通した来間大橋は、今年で25年目を迎えた。島全体に多くの恩恵をもたらした一方で、利便性が増したことで起こる問題や課題に島民が向き合う四半世紀となった。それでも、ほとんどの島民は来間大橋がもたらした恩恵に感謝しながら、これから描く未来は大橋と共に飛躍する来間島を目指している。


 ■ 開通
 日本で一番長い農道橋として開通した来間大橋の延長距離は1690㍍で車道幅員は5・5㍍、歩道は1・5㍍。総事業費は約92億円。

 開通前は救急患者の船による搬送など日常生活において、離島苦に悩まされてきた島民たち。その解消を目指して要請を始めてから20年の歳月を経て来間大橋は開通した。

 当時の本紙の紙面では、開通を祝う記事や喜ぶ島民の声などが大きく掲載され、これから始まる新しい生活に島全体が沸いていたことが紹介されている。

 ■ 人口
 来間大橋が開通した当時、島の人口は178人で世帯数は世帯。今年2月末現在では、人口が164人で世帯数は105世帯となっている。

 一方で、来間よりも3年早い92年に大橋が開通した池間では、開通当時925人いた人口が昨年12月末現在で555人となり、4割減少。世帯数も395世帯から361世帯に減少している。

 元々の人口の数が違うが、来間は池間よりも人口の減少幅が少ない。この要因について、来間島に住む住民は「移住者の存在が大きい」と話した。

 ■ 移住
 岐阜県出身で来間島に嫁いで20年になる砂川葉子さん(44)は「私が来た当時は開通効果が出てきたころで新しい団地もでき、Iターンの移住者も3~4家族ほどいて活気があった」と振り返る。

 しかし、移住者のすべてが定住することはなく、定住者もいれば、3~6年程度で島を離れる移住者も多いという。

 砂川さんは「子どもの成長の節目に判断されている場合が多い。子どもが小学校時代は島でのびのびと過ごさせ、高校入試やその後の大学入試が近づいてくると、受験に対する環境面のほか、進学後の経済的負担を考えて島を離れるケースもあり、そうした移住者の新陳代謝が島内で繰り返されてきた」と話した。

 ■ 過疎
 大橋開通後しばらくしてからは、そうした移住者の出入りのサイクルが活発に繰り返されたという。

 実際に島の人口は、2001年には初めて200人を突破。それからしばらくは200人前後で推移したが、10年ごろから170人台を割り込む年も出てきた。

 砂川さんは「以前は活発だった移住者のこうしたサイクルは最近鈍化している。その要因の一つには島に住む家がないこともあると思う」と指摘する。

 この25年間、島内人口の減少幅は抑えられているが、砂川さん同様に自治会長の大浦邦夫会長も「島の少子高齢化と過疎化は深刻だ」と訴える。

 ■ 現状
 大きく変化し続ける島内環境を受けて、大浦会長は「以前に比べて島内人口の中身はかなり変わっている。移住者は増える一方で、もともと住んでいた人たちは減り続けている。今後どうなるのか心配している」と不安を募らせた。

 学校の廃校と進むリゾート開発。そうした島の現状を踏まえた上で、島民の描く島の未来に向けた新しい動きが注目となっている。
     (垣花 尚)


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