県検査で「陽性」2人判明/新型コロナ
嘉手納基地でも1人確認/水際対策、経済施策急務
【那覇支社】県は28日、同日に判明した新型コロナウイルスの検査結果で、2人が「陽性」だったと発表した。米軍嘉手納基地も1人を「陽性」と確認したと発表した。いずれも県外・国外からの移入例か、その濃厚接触者とみられる。一方、那覇市の国際通りでは観光客が大幅に減っていた。県の水際対策と経済施策の双方が急がれる。
県が感染を確認したのは、那覇市在住の30代と20代の女性。このうち、30代の女性は、県関係7人目の感染が判明していた男性(30代、那覇市在住)の濃厚接触者。20代の女性は、ニューヨークでの留学から台湾を経由して23日に那覇空港に到着していた。
また、嘉手納基地が感染を発表したのは海外渡航から帰国後に15日間の行動制限を受けていた空軍に所属する軍人という。在沖米軍関係で新型コロナウイルスの感染が確認されるのは初めて。
玉城デニー知事は、同日の対策本部会議で「国内外での感染拡大の影響で、県内でも感染者が相次いで報告されている」とした上で、県民に対して「密閉空間、密集場所、密接場面という、集団感染の起こりやすい場所を避けてほしい」と呼び掛けた。
国外や県外からの移入例が増える中、県は政府に対して全国の空港でサーモグラフィーを設置することなどを要請する方針。また、県の施設が保有するサーモグラフィーを県内空港に置くことなども検討しているとしてきた。
県の担当者は27日、「これから就職や就学で移動がもっと激しくなり、感染が多い首都圏などと交流人口が増える。県外・国外から入ってくる感染者から県内で広がらないよう、粘り強く対策を取るしかない」と述べた。
一方、新型コロナウイルスが観光業など県経済に与える影響も、深刻さを増している。沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)は、最新(25日付)の調査で3~5月期の入域観光客の対前年同期比の減少幅を164万人、県内消費の減少額を1135億円に下方修正を行った。
県は、2020年度補正予算で「中小企業セーフティネット資金」として160億円を盛り込み、融資枠480億円を確保。稼働率の低下が指摘されている県内ホテルに県民が宿泊する際は補助を行う方針も示している。
ただ、今後は追加の施策が必要になる可能性もある。
また、県の担当者は感染防止について27日、「(県の)専門家会議で、『県民の危機意識が緩んでいるではないか。医師と県民との意識に乖離(かいり)がある』との意見も出た」と指摘した。