新患は紹介状持参を/宮古病院
あすから全診療科で/「地域医療支援病院」向け
宮古病院は4月から新患患者の受け付けについては、全診療科で開業医などの「紹介状」を持参した上での診療を進めるとしている。30日に同病院で行われた会見で、本永英治院長は「基本的に全科で(かかりつけ医か開業医からの)紹介状を持参した人のみとなる」と説明。しかし、緊急性がある場合は連絡を受けた上で対応するとした。この取り組みは同病院の「地域医療支援病院」の届け出に向けたもので、地域の医療機関と連携を密にし、充実した医療サービスの提供を目指している。
この取り組みについては、圏域における中核病院としての役割を担っている宮古病院として、その機能を十分に発揮できるような環境を整える必要性に迫られている背景もある。
本永院長は「紹介状持参の取り組みは、全国的には普通だが、宮古ではまだそうした医療文化が発展していない。現在、医師は外来の新患への対応に追われてしまって、疲弊する環境もある。新患については地域の開業医と医療分担する必要がある」と訴えた。
風邪などの一次医療が必要な患者や症状の安定した慢性疾患の患者のケアは地域の開業医などが担い、入院が必要な患者や、高度医療が必要な患者は開業医が宮古病院に紹介して検査や治療を進めていくとしている。
この紹介状を基に、宮古病院では検査や治療を行い、症状が安定すると、紹介元の医院に患者を逆紹介して、紹介元の医院はその後の診療などを行うとしている。
宮古病院側は「私たちとしても事前に患者の情報を得た上で、検査も診察もできるので、いろいろな判断も早くなる」と、そのメリットを強調した。
一方で、どうしても見てほしい人や、多良間島など遠方からの来院、超高齢者などが紹介状を持参しないで来院した場合については、選定医療費2200円が必要としている。
本永院長は「私たちはこうした取り組みを通して地域の開業医などと連携を密にした『地域医療支援病院』となることを目指している。県内の県立病院では宮古、八重山はまだなっていない」と訴えた。
さらに「現状のままで、宮古病院の医師が疲弊してしまう医療環境は、今後の医師確保にも影響する」とし、地域医療支援病院となることの重要性を訴えた。
同病院によると同支援病院となるには、紹介率が50%以上、逆紹介率は70%以上必要となっている。
2月の段階で同病院の紹介率は54・3%と基準を超えているが、逆紹介率が54・2%にとどまっており、できるだけ早く70%の達成を目指している。