「多良間方言辞典」発行/「島言葉残す」思い強く
特徴はアクセント情報記載/渡久山、ケナンさん共著
元校長の渡久山春英さんと国立国語研究所言語変異研究領域非常勤研究員のセリック・ケナンさんによる「南琉球宮古語多良間方言辞典」がこのほど発行された。今回は150部を作成。宮古島市や多良間村の教育委員会や図書館などに無料で配布するとしている。
同辞典が発行に至ったのは、多良間出身の渡久山さんとケナンさんが2014年に出会ったことがきっかけ。
多良間語の研究に向けて話者を捜していていたケナンさんが渡久山さんを紹介され、渡久山さんがそれまでにまとめてきた多良間方言のノートを基本に2人でさまざまな調査を実施して完成にこぎ着けた。
渡久山さんは「島の言葉も今では変わってきている。この辞典は私が子供のころに覚えた言葉を残したいとの思いが一番強かった」と話した。
ケナンさんとの共同作業については「この辞典は、ケナンさんとの出会いがなければ実現しなかった。彼の才能は本当にすごい。私は日本語を彼から学んでいる状態。ニコライ・ネフスキーの再来だと思う」と笑顔になった。
ケナンさんは「渡久山さんが以前からまとめていた資料がとても素晴らしかった。私はそれをデータベース化し、言語学的な情報を入れ込んだ。それぞれの単語にアクセント情報を盛り込んだことが今回の辞典の特徴」と話した。
今後については、来年3月ごろまでに電子版が完成する予定で、今回の辞典の内容をそのままインターネットで無料で公開するとしている。
さらに、辞典に記された単語のアクセントが分かる音声が聞けるようにし、さらに多良間の方言を分かりやすくした内容にする予定となっている。
発行者は、木部暢子国立国語研究教授。発行所は同研究所言語変異研究領域。