緊急小口資金に相談殺到/社協生活福祉資金貸付
申請1週間で最大20万円/無利子 新型コロナで要件緩和
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、貸し付けの間口が広がった社会福祉協議会(社協)の生活福祉資金貸付制度への相談と申請が殺到している。申請から1週間程度で最大20万円を無利子で借りられる緊急小口資金で、一時的な資金を必要とする世帯を中心に申請が相次いでいる。市社協によると、特例の受け付けが始まった3月下旬からの相談は計269件、申請は98件と急激に伸びた。管内経済活動の停滞で収入が落ち込む働き手の実態が鮮明に映し出されている。
各都道府県社協が実施する従来の生活福祉資金貸付制度(緊急小口資金)の貸付対象世帯は、低所得世帯に限られている。だが、新型コロナの感染拡大を受けて対象範囲を拡大。同感染症の影響で収入が減少している世帯に対しても、生計維持のために必要な資金を緊急的に貸し付けることが制度上可能になっている。
貸付上限額は従来の10万円以内から20万円以内に上積みされた。一時的な資金が必要な人には10万円、小学校等の休校の影響を受ける世帯は特例で最大20万円を借りることができる。
本来「2カ月以内」の据置期間は1年以内に、償還期間は従来の「1年以内」から2年以内になるなど要件が大幅に緩和された。
無利子で保証人も不要であるため、借り入れの際のハードルは比較的低い。申請から振り込みまで最短1週間というスピード送金も注目を集めている。
全国各地の社協で申請や相談が相次いでいるが、市社協への問い合わせも止まらない。「電話は朝から鳴りっぱなし」(市社協)の状況にあるという。
市社協は地域福祉課(旧市中央公民館)で相談と申請を受け付けている。館内に専用ブースを設置し、事前に予約を済ませた世帯の相談に当たっている。
申請には運転免許証や住民票のほか、収入の減少を証明する書類が必要になるが、同課では「事前に電話をして必要な書類を確認するとともに、時間調整をした上で来館してほしい」などと呼び掛けている。
飛び込みの場合、書類の不備で一度戻されたり、事前予約で相談が埋まっていて対応できなかったりすることがあるためだ。よりスムーズな申請手続きや、館内における密閉、密集、密接の「3密」を避けて感染を防止する狙いもある。
同課の漢那林課長は「収入が減少して急ぎたい気持ちは分かるが、まずは電話をしてほしい。そうすることで必要な書類も細かく伝えられる」と話し、広く市民に事前の電話相談に対する理解と協力を求めた。
同制度に関する問い合わせは市社協地域福祉課(電話72・3193)まで。