農家戸数700戸割る/肉用牛19年実績
飼養頭数も減少傾向/高齢化に伴う廃業要因
宮古島市の肉用牛飼養農家戸数が減少の一途だ。2019年は685戸で、9年連続減少した。生産農家の高齢化に伴う廃業が主な要因に挙げられる。比例して飼養頭数も1万431頭と伸びず、前年の実績を下回った。素牛(子牛)産地として、細る生産基盤の立て直しが求められている。
飼養農家戸数、頭数ともに、市農林水産部畜産課のまとめで分かった。
農家戸数は、前年より全体で45戸減った。地区別に見ると、同数だった伊良部地区以外は軒並み減少、城辺で26戸、平良では11戸と減少幅が大きかった。
飼養頭数は、全体で159頭減少している。地区別では平良が前年比17頭減の3686頭、城辺が同77頭減の4225頭、上野が同32頭減の1348頭、下地が同55頭減の829頭、伊良部地区は22頭増えて、343頭となっている。
減少の要因は生産農家の高齢化に伴う廃業だ。市など関係団体によると、廃業のペースに対して中核農家が取り組む懸命な増頭運動が追い付かず、相対的に減少が続いているという。
市がまとめた18年12月末現在の年齢別農家戸数によると、61歳から70歳が最も多く全体の28・63%を占めている。以下は81歳から90歳が21・23%、71歳から80歳が18・49%と続くなど高齢化の実態が関係データで明確に示されている。
このまま生産基盤の先細りが進むと、素牛の生産力も落ち込む。こうなると毎月の肉用牛競りへの出荷頭数も減少し、素牛産地としての評価が下がり、最終的に競り値にも影響する。
宮古和牛改良組合の荷川取広明組合長は「農家戸数が減るのは仕方がないことなので、今後は中核農家が頭数を増やすことが求められる」と増頭に向けて具体的な道筋を描く。「平均飼養頭数は県平均と比べて宮古はまだ低い。そういう意味では増やす余地、のびしろはあるということなので分かりやすい目標を掲げて取り組みたい」と話した。