ミヤコカナヘビって不思議/出前授業 絶滅危惧種を学ぶ
出前授業「宮古諸島の絶滅危惧種ミヤコカナヘビ」が11日、平良東仲宗根の市ひらら児童館で行われた。生きた個体のミヤコカナヘビ5匹が展示され、子どもたちは間近に観察する珍しい生き物に興味津々に見入っていた。
どうぶつたちの病院沖縄と沖縄こどもみらい創造支援機構、世界自然保護基金ジャパン(WWFJ)が共催で実施した。ミヤコカナヘビ5の展示には、特別に環境省の許可を得た。
出前授業は、身近に生息するミヤコカナヘビについて理解を深めることを目的に開催された。ミヤコカナヘビは、宮古諸島の成り立ちや緑色の体色の進化過程を知る上で貴重な存在と言われている。
講師に琉球大学熱帯生物圏研究センター准教授で両生類・爬虫(はちゅう)類に詳しい戸田守さんと琉球大学院生の安里瞳さんが招かれた。
戸田さんは「みやこ島のふしぎないきものたち」と題して講話した。
その中で「宮古島は約40万年前までは海に沈んでいた。それよりも古い固有種のミヤコカナヘビがどうして今もいるのか、まだ答えを知らない。知らないから研究を続けている」と述べた。
安里さんは「どうしてミヤコカナヘビは減ったのか。いくつかの原因が考えられる。島に持ち込まれ繁殖しているイタチやクジャクなどに食べられた。畑に使われる農薬などの影響で体が良くならなかったなど」と語った。
参加した立津りあさん(小学2年)と来間るかさん(同1年)は「初めてミヤコカナヘビを見たが、尻尾が長くてかわいかった」と感想を話した。
ミヤコカナヘビは、世界中で宮古にしか生息しない固有種。雌雄ともに体長約30センチまで成長し、長い尻尾は体長の約75%を占める。
近年、ミヤコカナヘビの個体数は激減。環境省のレッドデータでは絶滅危惧IA類(ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が高い種)に指定されている。2019年6月に県の天然記念物に指定された。