GoTo旅行スタート/新型コロナ対策
景気押し上げに期待/観光振興と感染防止両立へ
新型コロナウイルスの影響で冷え込んだ観光需要を喚起する政府の「Go To トラベル」事業が22日に始まった。国内旅行を対象に宿泊・日帰り旅行代金の半額を補助する。観光振興が期待される半面、人の移動の活発化に伴う感染リスクの高まりへの懸念も膨らむ。事業開始をめぐっては政府方針の変遷で観光事業者の多くが対応に手を焼いているのが現状だ。業界の期待と不安が交錯する中、景気の押し上げ効果がどこまで出せるのか注目される。
「Go To トラベル」事業は、感染が拡大している東京都を除く46道府県で実施される。具体的なイメージとしては、1人で1泊2万円の旅行に出掛ける場合の実質的な補助額は1万円となる。旅行代金の割引は7000円で、残り3000円は地域共通クーポン券として支給される。
1人で1泊5万円の場合の旅行代金の半額は2万5000円だが、補助額は上限の2万円となる。旅行代金の割引は1万4000円で、6000円分の地域共通クーポン券が支給されるという具合だ。
ただ、当面は先行実施の形を取り、旅行代金の35%を割引く。上限は1人1泊1万4000円(日帰り7000円)に設定される。旅先で使える地域共通クーポン券の本格実施は9月1日以降を予定。クーポン券は1枚1000円単位の商品券で、旅行期間中に限って使用可能となる。
現状、どの宿泊施設や旅行商品が割引の対象になるのか確定していないことから、この補助を利用して旅行を考えている市民の出足はいまひとつ鈍い。
市内旅行会社は22日、県の「彩発見」キャンペーン時に旅行商品の購入者が殺到したことから、フル勤務態勢で備えていたが、購入者はいなかったという。
同社の担当者は「すべてがかちっと決まっているわけではないので、曖昧な説明しかできないところが苦しい。いま(商品を)購入していただいても、補助が確実に出ると答えられない状況にある」と話した。
観光庁によると、22日以降の旅行を既に予約している人については、旅行後の申請によって割引分の還付を受けることができる。対象となる旅行商品は、この事業の登録参加事業者が販売するものに限られる。
27日以降は、旅行業者や予約サイト、宿の直販予約システム等で準備を整えた事業者から、順次割引価格を加味した旅行商品の販売が実施される見通しだ。