従来通り独自発表せず/宮古保健所 コロナ情報管理
先島間で生じている新型コロナウイルスに関する情報格差で、県宮古保健所の宮里義久所長が20日、本紙の取材に応じた。情報発信の在り方をめぐっては八重山地方本部のように独自発表方式は取らず、本庁で一元管理する従来の方針を強調した。その理由として患者や濃厚接触者の人権尊重および個人情報保護の重要性を挙げた。八重山方式は調査業務における患者らとの信頼関係に影響を与える可能性にも言及し、本庁一元管理の妥当性を訴えた。
取材は、宮古保健所内で行われた。宮里所長のほか県宮古事務所総務課の下地努課長らが同席。保健所担当課の班長も座った。
県新型コロナ対策本部の八重山地方本部と宮古地方本部における発表方式の相違に関して宮里所長は「宮古は本庁で一元化してやると決めている」と明確に答えた。「患者の情報とか細かい情報を保健所の外に出すというのは厳しい。患者の人権を守る」と述べた。
八重山地方本部は独自にPCR検査の結果やクラスター(感染者集団)に関する情報を発信してきた。いわゆる八重山方式だ。これに関しては「石垣市の意向をくんでいる」(本庁)ことが背景にある。宮里所長は下地敏彦市長から要請があることを認めた上で「かと言って人権尊重とか、個人情報保護の観点を崩すというのは保健所としては厳しい」との見解を示した。
宮古と八重山の発表方式の相違が一部で不信感を生んでいるのではないかという問いには「沖縄本島と宮古は一緒で、沖縄・宮古方式と八重山方式がある。沖縄本島は同じように扱っている」と理解を求めた。
八重山方式に関するやり取りでは、「何を恐れているかというと、どんどん情報を出すと、調査に協力できない事態がこないかと懸念している」とした。情報の取り扱いをめぐり患者との信頼関係が低下し、保健所の調査業務への協力を拒否する患者が増えてしまうシナリオを想定。結果として感染経路を追えないという事態を指している。
宮里所長は「人口が5万人ちょっとのところで情報をどんどん出していくと僕らは(感染経路を)追えなくなることを心配する」などと話し、新型コロナ情報は本庁一元管理で取り扱うことの妥当性を訴えた。