「名家」のフクギ剪定/研究者ら「景観台無し」
市教委 隣家への被害防止で
市教育委員会はこのほど、平良の名家として知られる旧仲宗根氏家の門からヒンプンに至る両側に生えるフクギの大木10本を枝打ち剪定(せんてい)した。フクギに詳しい研究者や市民からは「景観が台無し。剪定するにしてももう少し考えてほしい。非常に残念」との声が上がっている。
今回の枝打ち剪定は、台風などの自然災害でフクギが倒木した場合、隣家に被害を与える恐れがあることから、被害防止の措置で行われたもの。
市教委生涯学習振興課文化財係の久貝弥嗣(みつぐ)係長は「旧仲宗根氏の家庭園と周りは国の登録記念物(名勝地関係)になっている。国に現場変更の届け出を行い、国からフクギの枝打ち剪定が許可された」と理解を求めている。
ヒンプンは県内の古民家で見られ、中国のびょうぶが由来とされる。門と母屋の間に設けられる塀のことで、目隠しの役割も果たしている。
フクギの大木10本が育つ隣家は鉄筋コンクリート2階建て。2階建ての高さは7㍍前後とされ、枝打ち剪定前のフクギの高さは約7㍍あったと推測される。
今回の剪定について琉球大学名誉教授で森林政策学が専門の仲間勇栄さんは「剪定されたフクギは樹齢が70~180年。国の許可があったというがこういった形で剪定することを許可したわけでは無いと思う。乱暴な切り方で景観も丸つぶれになっている。見るも無惨な姿。専門家を交えてすべきだった」と指摘した。
また、「今後は専門家も交えて現場で剪定する枝を判断するシステムの構築が必要だ」と訴えた。
旧仲宗根氏家宅は、忠導氏仲宗根家。15世紀末から16世紀初めにかけて宮古島首長となった仲宗根豊見親玄雅を祖とする一門で、代々宮古の頭職を務めた名家として知られる。建造物はすべて過去に解体撤去され、現在は宮古島市の市有地。