障がい者雇用の悪化懸念/官民意見交換で課題共有
新型コロナの影響じわり
宮古地区の障がい者雇用情勢をめぐり、市、宮古公共職業安定所(ハローワーク宮古)、宮古島商工会議所の3者が3日、意見を交わした。事業主都合の離職など、新型コロナウイルスの感染拡大が障がい者の雇用環境に影響を及ぼし始めている現状を共有。管内における雇用機会の維持・拡大を最大目標に掲げ、官民が連携して課題と向き合うことの重要性を再確認した。
ハローワークの調べによると、宮古地区における障がい者の実雇用率は2・92%で県全体の2・66%を上回る。法定雇用率を達成している企業の割合も68・2%と高く、県全体の59・3%を10ポイント近く上回るなど障がい者雇用に対する事業主の理解が進んでいる地域だ。
ただ、新型コロナ感染拡大の影響で管内の雇用情勢が厳しさを増す中、障がい者の雇用にも少なからず影響が出始めているという。
現状、事業主都合による離職は数件だが、コロナの収束等に伴う雇用情勢の改善が見込めなければ影響の広がりが懸念される。
こういった現状を確認する3者の意見交換は、商工会議所内で開かれた。下地敏彦市長、ハローワーク宮古の阿部祐士所長、商工会議所の下地義治会頭と新城武一郎専務が参加した。
障がい者の求職状況については阿部所長が説明。新規は毎年70~80人、年間求職者は130~140人で推移しているという。障がい区分では身体が最も多く全体の半分程度を占める。
説明後、下地会頭は新型コロナの感染拡大で冷え込む経済活動を挙げ「とにかく今は観光客が少ない」と関連業種における雇用情勢の厳しさを指摘し、「新型コロナを乗り越えなければならない」と話した。
現状の雇用状況については障がい者の通勤の在り方に触れた。「障がい者が職場までどうやって行くのかという課題がある」と話し、この点が解消できれば雇用促進が期待できるとした。
これに阿部所長は「傾向として自力通勤ができれば早めに就職が決まる。遠方にあるホテルなど、自力通勤が困難な場合、やはり就職までに時間がかかってしまうのが現状」と答え、通勤という課題と向き合うことの必要性に同調した。
下地市長は「難しい問題だが、現状はそれぞれの企業がどこまで対応できるのかということになる」とした上で、「宮古の企業は障がい者への理解がある」と課題の解決に前向きだった。
説明要員として参加した障害者就業・生活支援センターみやこの神里裕丈さんも「作業能力は高いのに通勤ができなくて就職できない方がいる」という実態を報告した。その上で「みんながしっかり働いていける環境をつくりたい」と話し官民連携による障がい害者雇用の拡充に期待を込めた。