伝統行事を継続/上野宮国大綱引き
新型コロナで規模縮小
旧盆の「送り日」に毎年、上野宮国で行われる伝統行事「宮国の大綱引き」が2日夕、宮国公民館前の通りで行われた。今年は新型コロナウイルス感染症拡大防止対策で規模を縮小して少人数の地域住民のみで行った。宮国部落会の平良毅会長は「宮古でもコロナが発生したこともあり、大綱引きを開催するかどうか、地域で何度も話し合った。この伝統行事は300年以上も受け継がれ、台風襲来の時も中止しなかった」と話し「継続することが大事という意見でまとまった。形だけでも開催できて良かった」と笑顔だった。
宮国の大綱引きは市指定の無形民俗文化財。地域住民が東西に分かれて綱を引き合う。起源は定かではないが、住民の間では300~400年続いているといわれる。旧盆の3日間引き合った時代もあるが、今は送り日の1日のみ。例年は他の地域の住民や観光客なども参加して盛り上がりを見せる。
以前は、子供たちが綱を作っていたが、子どもが少なくなった今は、地域の大人たちが中心になって綱を編み上げている。
今年は台風接近ということもあって3日前に綱の材料キャーン(シイノキカズラ)を刈り取り。本来は約30メートルほどの綱を使用するが今年は規模縮小のため5~6メートルの綱を編み上げた。
綱引きが始まったのは午後6時30分ごろ。東西の綱をつなげると、中学2年生の「綱生徒」(つなしーどぅ)を中心に地域住民が綱を引き合った。
勝負の結果、今年は2勝1敗で西軍が勝利。若者たちは歓喜し、クイチャーを踊って喜びを表現した。
綱引きを終えると綱生徒が分解された綱を、それぞれの御嶽に奉納した。住民は手を合わせ、地域の発展を願って祈りをささげた。
西軍綱生徒の宮國葵生さんは「みんなで力を合わせることができたので良かった。先輩たちのようにクイチャーがうまく踊れるようになりたい。今年はいつもと違って少ない人数だったが良い思い出になった」と話した。