与那覇湾をラムサール登録へ
来年目指し市で説明会/環境省那覇自然事務所
下地の与那覇湾が「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約(ラムサール条約)」に登録される可能性が高まった。これを受け、環境省那覇自然環境事務所の樋口浩野生生物企画官が18日、市役所平良庁舎で、ラムサール条約登録の要件や手順、メリットをみどり推進課など関係各課に説明した。2012年11月にルーマニアで開催予定の生物多様性条約第11回締約国会議(COP11)での登録を目指す。県内からは唯一の候補地。
宮古島市では与那覇湾と八重干瀬の2カ所が潜在候補地として選定されたが、与那覇湾は国際基準に該当する国際的に重要な湿地であること、自然公園法、鳥獣保護法など国内法による担保措置がとられていることなどの条件を満たしているとして、県内では唯一の候補地として選ばれた。
長濱政治副市長は「貴重な自然、特に渡り鳥や浜辺の生態系が残っている与那覇湾がラムサール条約に登録されることで世界にも発信できる。エコアイランド宣言をしている市としても積極的に推進したい」との考えを示した。
ラムサール条約に登録されるためには候補地が鳥獣保護区などに指定されている必要がある。
与那覇湾一帯の1359㌶はすでに県の鳥獣保護区に指定されており、同区域を9~10月に予定されている環境省中央環境審議会に諮り、11月1日には国指定の鳥獣保護区に切り替える。この保護区内に設定される「特別保護地区」がラムサール登録の区域になるが、具体的な区域について樋口企画官は市や利害関係者などと協議して決めるとしている。
説明会では「登録されることで規制はないのか」「サニツ浜カーニバルは開催できるのか」などの質問が出た。
樋口企画官は「ラムサールに登録されること自体で規制が強化されることはない。事前に指定される特別保護地区の規制を超えるものはない」と話した。
特別保護地区(鳥獣保護区内)は工作物の新築▽水面の埋め立て・干拓▽木竹の伐採は許可が必要。ただし、1㌶以下の埋め立て・干拓や住宅設置など鳥獣保護に支障がない行為として政令に定める不要許可行為もある。
国内のラムサール登録湿地は37カ所で面積にして13万1027㌶。
ラムサール条約 1971年にイランのラムサールで開催された「湿地及び水鳥の保全のための国際会議」で「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」が採択された。開催地にちなみ「ラムサール条約」と呼ばれる。日本は80年に締約国になった。