豊作、豊漁、繁栄祈願/集団クイチャーは中止
コロナで縮小、静かに幕開け/池間、西原、佐良浜地区ミャークヅツ
豊作や豊漁、子孫・地域繁栄を祈願する男性中心の祭り「ミャークヅツ」が18日、池間、西原、佐良浜地区(池間添、前里添)で始まった。今年は新型コロナウイルス感染防止の観点から規模を縮小。参加者の検温や、会場に消毒液を設置するなどして開催した。パレードや円陣を組んでのクイチャーは行わず、神前で祈りをささげ、杯を交わす静かな行事になった。
■池間島
池間島では四つの拝所のうち、前里ムトの会員らは早朝から来所し、全員でムト神祈願儀式を執り行った。3日間の日程だが、コロナ禍の影響で規模を縮小。例年水浜広場で行われる集団クイチャーは中止となり静まり返っていた。
前里のムト神祈願儀式に参加した人たちは、各テーブルで一定の距離を空けて座り、ホットミルクを飲みながら旧交を温めていた。
台所で飲食物の提供を担う真栄里泰智さんは「コロナの影響で、数え55歳の新会員は参加を自粛した。それで先輩である私が代役を務めている」と話した。
池間島には真謝、上げ桝、前之屋、前里のそれぞれムトと呼ばれる4カ所の拝所があり、男性の各人はいずれかのムト会員となっている。
那覇から訪れた90歳の浜元保さんは、35年連続参加で表彰された。
■西原
平良西原のミャークヅツは「あら日」と呼ばれる初日を迎えた。朝からナナムイ(48歳から55歳までの男性)らが、仲間御嶽に集まって酒を酌み交わし、祭りの開始を祝いながら地域の発展を願った。新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、対策を施し規模を縮小して行われた。3日間にわたって開催される。
午前8時から行事が始まり、西原自治会の仲間忠会長らがあいさつしてミャークヅツの開会を告げた。仲間会長は「ミャークヅツは、池間民族にとって最大の喜びであり、本来なら盛大に祝うところだが理解してほしい」と話した。
■池間・前里添
伊良部佐良浜地区のミャークヅツは池間添、前里添で始まった。両地区ともに神事の行事のみ。今年の新入生(ミーウヤ)がツカサウヤから酒を受け、密を避けるため一人一人が喜びを踊りで表現した。4日間にわたって開催される。
池間添では数え47歳から、前里添では同50歳からミャークヅツに参加。今年は池間添に16人、前里添に12人がミーウヤとして加わった。
池間添の大浦英樹さんは「例年とは違って盛大ではないが、思い出に残る」と話した。
前里添のツカサウヤである西原豪さんは「開催か否か、いろいろな意見が出たが、地域の伝統行事として守り続けていきたい」と決意を語った。