外来種の持ち込みに警鐘
自然環境の保全訴え
生物多様性地域戦略(総合的かつ計画的に推進していく「基本的な計画」)の策定に向け、県は22日、市中央公民館で普及啓発の講演会を開いた。講師に招かれた国立環境研究所主席研究員の五箇公一さんは「在来生物の多様性を脅かすのは、外来生物の侵入種である」などと述べ、外来種の持ち込みに警鐘を鳴らした。参加した市民らは、熱心に聞き入っていた。
わが国の生物多様性基本法は2008年6月に公布・施行された。この基本法に基づき、国は「生物多様性国家戦略」の策定が義務化され、地方公共団体は「生物多様性地域戦略」の策定が努力義務化された。
五箇さんは「人間は生物と共生できるか?」と題して講演した。
この中で「森林の破壊や生息地の分断化、外来種の侵入、有害科学物質、廃棄物、気候変動・温暖化が多様性生物を脅かす要因である」と説明。
その上で「侵入種は、外来種・移入種のうち移動先の新天地において定着・繁殖に成功した生物種のこと。侵入種は、在来種を捕食・競合し、遺伝的かく乱、寄生生物となる。これによって在来生物が衰退していく」と強調した。
また「毎年世界中で1290万㌶の森林が減少しており、北海道と九州を合わせた面積となる。日本は国土の76%が森林だが、木材の8割は外国からの輸入材である」と語り、世界の森林減少に日本も関わっていることを示唆した。
講演に先立って県自然保護課が「沖縄県における自然環境保全の取組について」の概要を説明した。県は「生物多様性地域戦略は、2011年度から12年度まで2年かけて策定する」と述べた。
生物多様性 遺伝子の多様性から個体群、種の多様性、生態系の多様性に至るさまざまな階層での多様性を包括する概念をいう。地球上に存在する種は、種名が付けられているもので170万種、未発見の種を含めると3000万種とも1億種とも言われている。(国立環境研究所の資料より)