農家手取額2万1999円/キビ20-21年産
前期比396円の大幅増/所得向上へ期待膨らむ
2020-21年産サトウキビ(分蜜糖)の取引価格が決まった。サトウキビ1トン当たりの価格は標準的な糖度(13・7度)で5139円。前期作と比べて266円増額した。これに国に交付金を加えた農家の手取額(原料代金)は同比396円増の2万1999円となった。増額は2期連続。
農家収入となるサトウキビ代金は、国の交付金と工場が買い取る価格(取引価格)で構成されている。
取引価格は、砂糖の国際相場と国の価格調整制度によって定められる輸入糖売り戻し価格を基に算出されている。過去2年連続で減額していたが、今期は増額に転じており、標準的な糖度の価格が3期ぶりに5000円台を回復した。
ただ、交付金と違って基準糖度内(13・1~14・3度)の原料でも品質に応じて価格が増減するため注意が必要だ。0・1度ごとに37~38円変動し、同糖度帯上限の14・3度の場合は5364円まで増えるが、逆に下限の13・1度の場合は4914円まで下がる。
一方、国の交付金は前期比130円増の1トン当たり1万6860円。19年12月に政府が決定した。基準糖度帯内の品質なら、この金額が一律で支払われる。
ただ、基準糖度帯を外れると変動していく。0・1度ごとに100円ずつ加減され、13・0度と15・0度の原料の交付金の差額は800円にも及んでいる。
こうした取引システムが導入されているため、取引価格と交付金の合算値である農家手取り額は結果的に品質に左右される。
1トン当たりの農家手取り額を見ると、15・0度の場合は2万3187円と標準額より1188円も増額する。18・0度になると2万7312円まで増え、標準額と比べて5313円高くなる。逆に13・0度の原料は2万1636円と標準額より363円減り、12・0度は2万261円と標準額を1738円も下回る。
この点、今期のサトウキビは各工場の事前調査で高い傾向にあるため期待が膨らむ。すでに操業を始めている宮古製糖の3工場の平均糖度は当初から14度を超えており、沖縄製糖宮古工場を含めて一層の品質上昇が求められている。