ジュゴンの食み跡か/伊良部佐和田の浜
専門家「可能性高い」
伊良部佐和田の蟹蔵代表の吉浜崇浩さん(43)が15日午前2時すぎ、干潮で干上がった佐和田の浜で、ジュゴンの食(は)み跡とみられる痕跡1本を新たに確認した。ジュゴンネットワーク沖縄の細川太郞さん(59)は22日、本紙の電話取材に「写真を見る限りでは、恐らくジュゴンの食み跡の可能性が高い」との見解を示した。
ジュゴンの食痕は、「食み跡」、あるいは「ジュゴントレント」と呼ばれる。
ジュゴンは国内では沖縄の海域だけに生息し、沖縄が世界の生息域の北限。国指定の天然記念物、絶滅危惧種。また国際希少野生動植物種に指定されている。
環境省は昨年3月、伊良部でジュゴンの食み跡とみられる痕跡が64カ所、密集場所が8カ所あったと発表した。痕跡を撮影した写真は報道機関に提供された。
食み跡は、へこんだ状態になるのが特徴。形状は筋状に曲がったり、枝分かれたりする。食み跡は短期間に海草が生え、消える。
日本では、鳥羽水族館(三重県)が唯一ジュゴンを飼育展示している。吉浜さんによると、ジュゴンの生態に詳しい研究者は今回写された写真画像から「ジュゴンの痕跡の可能性がある」との見解を述べたという。
これまでに佐和田の浜でのジュゴン目撃情報は数例ある。昨年3月にも目撃があった。
吉浜さんは「観光客の男性3人が蟹蔵のテラスから佐和田の浜を眺めていた時だった。突然『あれは何だ。動物のような生き物だ』と叫んで騒然となった。自分も目を向けると、目測で全長2㍍以上の生き物が沖へ向かって泳いでいた」と振り返る。
ジュゴンが好む海草は特にベニアマモ、リュウキュウアマモ、リュウキュウスガモ。それらの海草は佐和田の浜のイノー(礁湖)に広い範囲で自生している。
ジュゴンは不定期に来遊し、ベニアマモなどを食べているようだ。姿はまだ撮影されていない。
吉浜さんは「ジュゴンを発見した時は、情報を提供してほしい」と呼び掛けている。
問い合わせ・連絡は、吉浜さん(電話78・4737)まで。