支持層の動き注目/秋の市議選向け始動
与野党勢力図の行方占う
3期12年続いた下地敏彦市政が刷新された2021年は島内政治の大転換点となった。さらに今秋には市議会議員選挙が控えており、圧倒的な野党多数の中で市政と議会運営を強いられる座喜味一幸市長と与党側からすれば勢力拡大の好機だ。一方の野党側は次期市長選を見据えて勢力の維持が命題だ。今後の政局は市議選に向けて各方面でいろいろな動きが展開されそうだ。
次期市議選の行方を占う上で、重要なのは前回市議選後に行われた各種選挙戦における有権者動向だ。
その間の選挙は「分裂」がキーワードとなり、混とんとした政局の中で展開されてきた。
座喜味市政誕生の大きな要因となったのが、昨年の県議会議員選挙の結果だ。
オール沖縄勢力が候補者を一本化した一方で、保守側は当時の長期市政の継続を求める勢力と座喜味氏を擁立した刷新派勢力の対立構図がより鮮明化した選挙戦となった。
その結果、継続派の候補の獲得票は有効投票数の41・4%に止まった一方で、今回市長選に当選した座喜味氏を推す刷新保守票は予想を上回る23・2%を獲得した。
刷新派保守勢力の支持票と、オール沖縄勢力の支持票を合わせると58・4%となり、継続派を17ポイント上回った。
この結果が、今年1月に行われた市長選の構図へと流れていく。
オール沖縄勢力と刷新保守派が保革の壁を乗り越えて座喜味氏を擁立して挑んだ市長選は、座喜味氏が1万5757票(有効投票数に占める割合54・8%)、下地氏が1万2975票(同45・1%)で座喜味氏が2782票差で勝利した。
そして秋の市議選へとつながる。4年前の前回市議選の投票率は71・73%だが、最近の傾向から時期市議選は3~5%程度の落ち込みが予想され、有効投票数は2万8000票~3万票程度になる見込みだ。
約3万票を奪い合う現状の市議会の勢力図は、野党19人に対して、与党5人。与党5人ともオール沖縄勢力で刷新保守派の市議はいない。
座喜味市政においては、市長選の勢いそのままに次期市議選で勢力拡大を目指す中で保守、オール沖縄支持層それぞれの支持者を見据えた候補者の擁立がカギを握る。
一方の野党側は、県議選、市長選の結果を踏まえて前回市議選時に比べ、有権者の意識がどう変化しているのかを見定めながら勢力維持を図る戦略が必要となっている。