先祖に家族の健康祈願/旧十六日祭
「グソー」の正月祝う
旧暦の1月16日に当たった2月27日、先祖を供養する伝統行事「旧十六日祭(ジュウルクニツ)」が市内各地の墓地で行われた。ご馳走や泡盛などを供え手を合わせて家族の近況を報告するとともに、向こう一年間の健康などを祈願した。新型コロナウイルス感染拡大防止策として、マスク姿や少人数、短時間で切り上げるところもあった。
「旧十六日祭」は亡くなった先祖が暮らす後生(グソー)の正月とされる旧暦1月16日に、宮古や八重山地方を中心に行われている。一族の墓に親族が集まり、後生の金とされる紙銭(カビジン)を燃やし、線香をたき、重箱料理などを供えて先祖を供養する。
例年なら宮古島ではこの日のために島外から帰省する人も多いが、県から非常事態宣言が発令されていることもあり、帰省を自粛した人が多かったとみられる。
市平良の久貝墓地団地では、清掃し清められた墓前に料理の入った重箱や果物などを供え、手を合わせて日ごろの見守りに感謝を込めていた。
家族を代表して妻と訪れた久貝善一さん(62)は「県外に住んでいるきょうだいたちは毎年、旧十六日祭に合わせて帰省していたが、コロナの影響で今年は宮古に来ることを断念した。コロナが収束して来年は、みんなで祝えるようにお願いした」と話した。
きょうだい3人で市平良荷川取にある先祖の墓前に集まった川満利江子さん(46)は「密を避けるため少人数で訪れた。今年の十六日祭は祖母の命日と重なったので、この後、子供たちを連れて実家へ行き、仏壇に手を合わせる。祖母も喜んでくれると思う」と語った。
新型コロナウイルス感染症の影響により、簡素に墓参りを行う人が多かったが、中にはいつもと変わらず大人数で旧十六日祭を行う親族も見られた。