「離島の農業守れ」/TPP交渉反対
県民大会に5300人結集
【那覇支社】TPP(環太平洋経済連携協定)への参加に反対する県民大会(同実行委員会主催)が29日、那覇市おもろまちの新都心公園で開かれ、農業者、関係機関・団体関係者ら5353人(主催者発表)が結集した。交渉参加は離島県の農業に壊滅的な打撃を与えるだけでなく、地域社会の崩壊も危惧されるとして「地域の実情を無視した政府の拙速な交渉参加に反対する」との強い思いを込め、スローガンと決議を採択した。宮古島市、多良間村からも大勢が参加。小雨交じりの中、デモ行進で反対の意思を県民に訴えた。
大会で主催者あいさつした小那覇安優JA沖縄中央会長は「中央政財界では、交渉に参加しないと、世界の孤児になる、農業のせいで国益が失われる、国益対農業保護との論調が強調されている」と指摘した上で、「TPP交渉は関税だけでなく24分野にわたる規制緩和を求めるもの。金融、医療、サービス、製造業など広い分野にまたがり、この国の形をも大きく変える危険性を持つ」と厳しく批判した。
仲井真弘多知事は「サトウキビは地域社会維持に大きく貢献している。農村の持続的発展ができるようにすることが大事。市町村、農業団体の皆さんと連携し沖縄の農業を守るために頑張ろう」と呼び掛け、同交渉への参加に反対する意思を示した。また高嶺善伸県議会議長は「離島あっての日本だ。離島の産業を守ることが政府の役目であり、交渉参加は本末転倒だ」として政府政策の矛盾を訴えた。
情勢報告で金城秀之JAおきなわ中央会専務理事がTPP交渉に至る経過や背景などを説明。交渉に参加した場合、県全域で約580億円の農業損益を出すのみならず、関連産業を含めると1420億円の影響が出ることなどを示した。
JAおきなわ青壮年部、県漁協青壮年部の代表らが決意表明し、県生協連会長が交渉参加は「食の安全を脅かすもの」と、また、第一次産業労連執行委員長が「全産業に影響与え、雇用が失われる」として、それぞれに連帯あいさつした。
砂川博紀JAおきなわ理事長が大会決議を読み上げ決議文を採択し、安和敏幸東村議会議長のガンバロー三唱で、参加した5300余の怒りの拳が宙に突き上げられた。