村の豊作と繁栄願う/多良間でスツウプナカ
コロナで規模縮小
【多良間】竜宮の神へ五穀豊穣(ほうじょう)と集落の繁栄を感謝し、向こう1年間の豊作と豊漁を祈願する多良間島の伝統行事「スツウプナカ」が13日、村内4カ所の祭場で行われた。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、規模を縮小し初日の暁の願い(アカツキノニガイ)のみを実施した。神酒を作るブシャ座のメンバーらがシュリ魚を神にささげ、豊作や繁栄を願った。
スツウプナカは、八月踊りと並ぶ島最大のイベント。1983年に多良間村の無形民俗文化財に指定されており、ナガシガーシュニ(長瀬川宗根)、フダヤーシュニ(札屋宗根)、パイジュニ(南宗根)、アレーキシュニ(新池宗根)の4祭場で行われる。
各祭場にはそれぞれ役割の座があり、60代以上の老人座、50代の中老座を中心とした祭祀(さいし)運営をつかさどる幹人座、供え物など料理をするクバン座、祭祀用の魚類を捕るイム(海)座で構成されている。
このうち字塩川のパイジュニでは中老座のある大木公民館に午後9時半ごろ、ブシャ座が集合。供え物を確認し、ブシャ座と老人座のメンバーが数カ所の祭場で祈りをささげた。祭場では6人の長老らが神歌(ニィリ)を歌い、角盃に注がれた神酒を飲んでいた。
ブシャ座で30年関わってきた比嘉清作さんは「去年はシュリ魚だけだった。今年はどうしても神酒をささげようと話し合った。神歌をささげることもできた」と笑顔で話した。