アオドウガネ 各地で急増
キビの害虫、被害懸念/JAなどが誘殺灯の状況確認
サトウキビを食害するアオドウガネの発生が各地で急増している。市のまとめによると、特に発生数が多い伊良部島では5月の捕獲数が180万匹を超え、前年同時期と比べて20万匹も多い。市や県、JAなどの関係団体は24日、伊良部島で会合を開いて危機感を共有。併せて誘殺灯の稼働状況を調べて回った。生産農家には誘殺灯が正しく稼働しているかどうか、日々の目配りを呼び掛けた。
アオドウガネの捕獲数は過去3年連続で増加。2020年に捕獲した成虫は1012万9260匹と、ここ10年で初めて1000万匹を超えている。近年の捕獲事業で最も抑え込んだ17年の捕獲数と比べると、6倍弱にも及んでいる。
市によると、特に伊良部島での捕獲数が際立っている。前年度も市全体の3割に当たる319万9140匹が伊良部島で捕獲されているが、今年もその傾向が強い。誘殺灯を設置した5月6日から同月中に捕らえた成虫は約186万6000匹。すでに前年捕獲数の58%に達しており、成虫の急増を裏付けている。
この状況を踏まえて24日夜、地区病害虫防除協議会主催の対策会議が伊良部島で開かれた。伊良部地区の原料員を含めて約30人が参加し、成虫の発生状況や今後の対策を話し合った。
会議の中で県宮古農林水産振興センターの砂川喜信所長は、成虫が卵を産み付ける前に捕獲する誘殺灯の効果を示しながら、「根本的には誘殺灯での駆除が最も効果的だ」と話し、誘殺灯の破損等がないか、常日ごろからチェックする体制の重要性を訴えた。
この後、全員で島内パトロールに繰り出した。捕獲されたアオドウガネを確認するとともに、誘殺灯が機能不全に陥っていないかを丁寧に調べて回った。
市農政課は「誘殺灯による効果を最大限発揮するためにも、誘殺灯が発光していなかったり、壊れたりしている場合は連絡をいただきたい」としている。報告や問い合わせは、同課(電話79・7813)まで。
アオドウガネ被害は、サトウキビの根茎が幼虫に食されて起こる。被害が大きいと株出しの不萌芽や収穫前の立ち枯れを招く。
成虫は5~7月にサトウキビ畑を中心に卵を産み付けるため、この時期に誘殺灯を宮古全域に設置し、成虫の捕獲を行っている。