先人の功績たたえる/佐良浜で顕彰碑建立15周年
ドイツ商船遭難救助
独逸商船遭難救助佐良浜漁師顕彰碑を建立してから15周年を迎えた12日、市伊良部池間添の佐良浜漁港近くの同碑前で式典が行われ、漁業関係者や建立した医師の奥原典一氏らが集い、当時の漁師たちが荒波を乗り越えて救助した勇気ある行動をたたえた。
1873(明治6)年7月、台風に遭ったドイツ商船ロベルトソン号が上野宮国沖で座礁・難破した。佐良浜漁師8人と宮国住民らが協力して乗組員らを救助し、1カ月以上手厚く介護し、無事ドイツに帰国させた。帰国したヘルンツハイム船長の手記が新聞で紹介され、当時のドイツ皇帝ウィルヘルム1世が1876年、宮古島に艦船を派遣し、博愛記念碑を贈った。
当時救助した漁師は、佐久本宗太郎、濱川孫太郎、仲間善足、嵩原松、伊佐亀太郎、川満福吉、仲間善、仲間梅吉の8氏。
実際に荒海に小舟でこぎ出し、座礁船からの救助を担ったのが、佐良浜漁師だったことは広く知られていなかった。奥原氏の父栄次氏が、古い文献から佐良浜漁師の存在を見つけたという。奥原氏は佐良浜漁師の功績を後世に語り継ごうと15年前に顕彰碑を佐良浜漁港を見下ろせる丘の中腹に建立した。
伊良部漁協の伊良波宏紀組合長は「心優しい先人たちを誇らしく思う。子供たちもこの史実を知ることで心優しい大人に育つと思う」と話した。
今年の式典は新型コロナウイルス感染拡大で緊急事態宣言が出されているため、関係者のみで行われた。