キビ夏植え始まる/自作の機械でフル稼働
下地の前里孝清さん
2022-23年産サトウキビの夏植え作業が始まっている。各地の畑で植え付け準備の耕土や苗取り、植え付けの作業風景が見られるようになった。農業関係者によると、キビの品種にもよるが夏植えは旧盆明けから9月いっぱいが適期で、農家は厳しい炎天下での作業に追われる。
市下地川満(高千穂)の畑では18日、前里孝清さん(69)が植え付け作業を始めた。今夏は60アールを植え付ける予定だという。前里さんは25年ほど前から、自ら考案製作した「ワンマン植え付け機」を使って植え付けている。
小型トラクターを使って1人で作業が完結できるように機材を考案した。運転席の横に苗を運ぶためのボックスを取り付け、コンベヤーとパイプで後部へ苗を流し込む。後部ではロータリーで耕土し、畝をつくり、そこに苗が流れ込み、小型タイヤで転圧し、覆土。併せて農薬散布も行う仕組み。畝幅を測るスケールも取り付けた。試行錯誤しながら、年々改良を重ね、現在使っているのは2代目の植え付け機。
前里さんは約6ヘクタールの畑でキビを栽培している。今年は春植えでも1ヘクタール植えた。苗の準備があれば、1日で35アールの植え付け作業が可能だという。一人で作業する前里さんは「人手がなかったので鉄工所で精密機械を扱っていた経験を生かして、植え付け機を作ろうと考えた。見学に来る農家も多い」と話し、額の汗をぬぐった。