抗体カクテル療法実施/宮古病院
新型コロナの治療薬/軽症者に投与 重症化防止に期待
新型コロナウイルス感染者の重症化を防ぐことが期待されている「抗体カクテル療法」について、今月3日から宮古病院でも実施していることが15日、分かった。同病院では中和抗体薬(治療薬)「ロナプリーブ」を軽症患者などに投与しており、投与された患者は自宅療養や宿泊施設での療養となるが、重症化防止にも繋がっていると見られる。
抗体カクテル療法は重症化防止に期待が持てるとして、県内の医療機関でも広がっている。これまで入院患者に限って投与されていたが、8月下旬には外来診療でも使用が可能となった。これにより、感染拡大で急増する自宅療養者などの重症化予防にも期待が高まっている。発症から7日以内の軽症患者への投与が効果的とされている。また、11歳以下の子供に対しては使用できない。
同病院では「軽症患者に投与することで重症化が防ぐことができると考えており、投与後は宿泊施設などで療養してもらっている」と説明した。
宮古地区医師会の副会長できしもと内科医院の岸本邦弘医師は「(抗体カクテル療法は)副反応として発熱などがあるほか、点滴なので1時間程度は十分な経過観察が必要と聞いている」と説明した上で、有効性については「全世界、全国的にも重症化防止が示されている。新型コロナウイルス感染症の治療として有効な手段になる。治療の選択肢が増えることは素晴らしい。今後、在宅でもある程度活用できるようになれば」と期待を寄せた。
また、感染症に対しては▽予防(ワクチン接種、3密を避ける、手指消毒等)▽診断(PCR検査など)▽治療-の三つが柱と強調。「ワクチン接種で予防し、何かあればすぐに診断、抗体療法などで治療が行えるようになり、最終的には内服薬ができればインフルエンザと同じになる」と話した。
抗体カクテル療法 米バイオ医薬品企業リジェネロン・ファーマシューティカルズが開発した新型コロナウイルスの治療薬。「カシリビマブ」と「イムデビマブ」という人為的に作られた2種類の抗体を点滴で投与する。対象は軽症から中等症の患者で、トランプ前米大統領の治療でも使われた。
臨床試験(治験)では、肥満や高血圧など重症化しやすい患者で、入院や死亡のリスクが7割低下。別の治験では感染予防効果も確認された。日本では今年7月に新薬として承認され、当初は入院患者が対象だったが、8月下旬には外来でも投与できるようになった。