多良間でエタノールを生産へ
ソルガムバイオ事業
飼料作物のソルガムからバイオエタノールを生産する事業展開を視野に、ヤンマー沖縄(宜野湾市)と多良間村が連携して進める 地域循環型のバイオマス(生物資源)活用事業が、現地で動き出した。1月末には畜産農家や議員、役場職員らに事業概要を説明。村は来月1日からソルガムの試験栽培(種まき)を開始する。
試験栽培するソルガムの草丈は、通常目にする品種の倍以上の4・5㍍。糖度はサトウキビと同じ程度という。年2回収穫で反収は15㌧~22㌧。バイオエタノールの原料にする汁を搾り取った残り粕(バガス)は、牛の飼料にする。
発酵残さと牛ふんは液肥にし、化学肥料を抑制した地下水に優しい農業を描く。
種まきは3月1日、4月1日、5月1日の3回に分けて行う。試験栽培では、サトウキビ収穫後地の有効利用も検討する。
現在村内では、約300㌶で牧草が栽培されている。既存の牧草をソルガムに変えた50㌶の栽培で、年間飼料生産は、現在の約2倍の1万㌧を見込む。牛の飼養頭数も大幅に増やせるとしている。
ソルガム飼料は、乳酸菌で発酵させる方法を採用する。沖縄本島での試験によると、嗜好(しこう)性は高いという。
バイオエタノールの当初の年間生産量は、2000㌔㍑を目標に掲げている。エタノールの製造に使うエネルギーは、牛ふんや家庭の生ごみをメタン発酵して確保。1㍑当たり100円以下の販売が、可能としている。
事業に対する住民の協力が得られ、事業化にめどが付けばエタノールの現地生産に踏み切る。
島内消費を前提とするバイオエタノール生産だが、使途が自動車燃料のE3に限られた場合、余剰が生ずる可能性がある。余剰分は、島外出荷の可能性を調査する。
同事業を担当する板谷勉ヤンマー沖縄農機営業部環境グループ部長は「小さい離島で、廃棄物を出さない循環型モデルができると、全国にも応用できる」と事業実現に期待している。
事業名は「緑と水の環境技術革命プロジェクト」。農林水産省の委託を受けて実施している。