運転免許返納141人/宮古島署20年まとめ
今年は8月末までに72人/多くは高齢者、優遇措置PR
宮古島市で2020年に運転免許証を自主返納したのは141人だったことが宮古島警察署のまとめで分かった。前年の174人に比べ33人減少した。21年は8月末現在で72人が返納している。返納者の多くは高齢者となっている。同署では、本人や周囲の人が少しでも運転に不安を感じたら免許返納を前向きに考えてほしいと呼び掛け。返納すると交通機関や飲食店の割引などの「優遇措置(支援制度)」が受けられる制度もPRしている。
19年には東京・池袋で87歳の男性が運転する乗用車が暴走し、母子が巻き込まれて死亡した事故など、全国的に高齢運転者による交通事故の増加が問題となっている。宮古島市でも17年には81歳の男性が運転する車が商業施設の店舗に突っ込む事故が発生している。
宮古島市では高齢者本人が自主的に返納するよりも、家族から促されて返納するケースが多いという。警察は「家族と相談して、早めの返納を検討してほしい」と話している。返納は原則、本人が窓口で手続きを行うが、入院や施設入所等の事情により来庁できない場合は、代理人による返納も可能となっている。
一部の高齢運転者からは移動手段がなくなるという強い反発や、長年の運転経験から「自分に限っては大丈夫」などの理由で返納に踏み切れない状況もある。このため、運転免許証を自主返納した高齢者には「運転経歴証明書」が交付され、提示すると料金割引などの支援制度が受けられる。
同制度は自主的な返納を促し、高齢者が関係する交通事故を地域一体となって防止することが目的。宮古島市でも多数の事業所がこの制度に協力している。
同署では「全国でも高齢者の事故が多発している。少しでも運転に不安を感じている人は返納を検討してほしい」と呼び掛け。今後も、高齢者が車を運転しないという決断の後押しや、返納後の「車なし生活」を支援していく考えだ。