「統一行動できない」/不信任案めぐり衝突
市議選控え、溝深まる/市議会野党勢力
市議会議員選挙を10月に控える中、圧倒的多数を誇ってきた野党保守系の内部で混乱が生じている。9月定例会で賛成少数で否決された市長不信任決議案に対する賛否で足並みが乱れたことなどを理由に、同案に賛成した野党市議が採決前に退席した自民会派6人の行動を問題視。27日に会合を開き、今後の選挙などの活動において「統一行動を行わない」との方針を決定した。同日中に自民会派にも伝えられたという。
関係者によると、一部の野党市議がSNSで採決前に退席した自民会派の行動を強く非難。「保守野党として組織から出す方針を決めている」との書き込みを行ったことも今回の判断に影響したようだ。
今後の活動について、不信任案に賛成した12人の市議は会合を開き「自民会派との統一行動はできない」との結論に至ったという。
山里雅彦議長も12人の判断に同調する姿勢を示しており、重要局面で足並みが乱れた野党保守勢力の構図は13人対自民会派の6人の構図となっている。
「統一行動ができない」とする理由について、ある市議は「採決の前の退席やその後の、市長に対する抗議文の出し方についても、6人の行動には不満の声が多い」と話した。
一方の自民会派の一部からは「こちらの姿勢を『当局寄り』のような指摘を受けるが、そんなことは決してない。不信任案に対する姿勢もその理由をしっかりと精査して判断している」とした。
市長に対する不信任案は6月、9月定例会と連続して提出されて2度とも賛成少数で否決。自民会派の6人は「反対」と「退席」の判断となっている。
重要な局面での騒動について、ある市議は「自民会派の行動に怒り心頭の勢力もあれば『選挙を控えたこの時期なのであえて問題にしない方がいい』との声も複数ある。実際には内部でも今回の判断に対する温度差はある」と説明した。
市議選直後には衆議院議員選挙も予定されていることについては「ただでさえ宮古の保守は分裂状態。ここにきて、さらに島内の保守勢力が細分化すると選挙戦がさらに難しくなる」と困惑した様子で話した。
これまで圧倒的多数を誇ってきた市議会の野党勢力だが、ここに来て今後の政局や市議選に対する思惑も交差して、重要な局面を迎えて、いつしかできた溝はさらに深くなってきている。