消防広域に「不参加」表明/宮古島市
市長「課題解決されていない」
【那覇支社】県内市町村全域の消防本部を一本化するために設置された「県消防広域化等研究協議会」の第3回会議が17日、那覇市の自治会館で開かれ、宮古島市の下地敏彦市長は同消防広域化に参加しないことを表明した。その理由として、同市から提案した広域化した場合の「課題(デメリット)が解決されていない」ことなどを挙げた。同市の消防資機材の整備率は100%、職員充足率も79・3%で県内41市町村の中でも最上位にあるという。同市のほか、浦添市、うるま市も不参加を表明した。
2006年の消防法改正に伴い、県が策定した「県消防広域化推進計画」に基づき発足した同協議会は、12年度を目標に全市町村消防本部の統合を目指している。
これまでに各市町村首長が出席する3回の会議と同副市長が出席する9回の幹事会を開いたほか、各自治体消防本部などの専門職員などで構成する通信、警防救助、救急、総務、財務、予防部会の6専門部会をそれぞれ複数回にわたって開催した。
宮古島市は広域化した場合の離島地域における財政負担などのデメリットを具体的に示すよう求めていたが、第3回会合でも具体的な財政負担額などは明示されず、同市の消防整備率が他市町村と比較して極めて高いことなどを理由に広域化への参加を見送ることを決定し表明した。
同日の協議会で下地市長は、デメリットの具体化以外に、「大災害時発生時に、広域消防が迅速対応できるような体制ができていない。また、災害時に各市町村がどれくらい財政負担するのかも明確になっていない」などと述べ、広域統合した後の様子をみながら加盟するかどうかの判断をしたい旨を告げた。
同市の消防職員体制の充足率が約80%であるのに対し、県平均は53%。広域化によって得られるメリットは、ほとんどなく、財政負担や人員派遣の負担が大きくなるという。
一方、消防救急無線のデジタル化と指令センター整備には県下の全市町村が参加することを決定し、同事務局への次年度職員派遣についても宮古島市は応じる考えを示した。