環境対策軸に地域活性化へ/NEDO、宮古島市主催
専門家が現状と展望説明/高校生対象に新エネセミナー
経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2009年に「新エネ百選」に選定した地区で進めているセミナーが23日、初めて高校生を対象に「高校生のための新エネルギーセミナーin宮古島」(NEDO、宮古島市など主催)と題し、宮古工業高校で生徒75人を対象に行われた。人材育成などの目的で開いた。セミナーではそれぞれの分野の専門家が「太陽電池の技術・これまでと、これから」や「蓄電池開発の最前線」などを説明した。宮古島では沖縄新エネ開発の風力発電が「新エネ百選」に選定されている。
NEDOエネルギー対策推進部の楠瀬暢彦主査は「将来有望とされる産業に向けて、若い人材の育成と就職時の選択肢を広げるのに役立てばと思い実施した」と高校生を対象にした趣旨を話した。
セミナーでは産業技術総合研究所太陽光発電研究センターの櫻井啓一郎工学博士が「太陽電池の技術・これまでと、これから」と題して開発や日本のエネルギーの海外への依存の現状を説明した。
同氏は日本の石炭や原油などの化石エネルギーは96%が輸入に頼っている点を挙げ「発電など、燃やすだけのために輸入している化石燃料の額は2008年で23兆円。新エネルギーなどで対策を講じない限り50年には8割が枯渇性の化石燃料が占めることになる」と指摘した。地球温暖化防止のために二酸化炭素の排出を抑制する意味でも、新エネルギーの大量普及が必須であることを強調した。
さらに▽太陽光は持続性のエネルギー源として最大の可能性を持つ▽太陽光発電の競争はこの数年が特に激しいが、日本のメーカーもそれを乗り越えれば経済・産業的に大きな可能性を持つ-などと新エネルギーの大量普及の必要性と産業の経済的な展望を説いた。
浜元晋之心さん(電気情報科1年)は「とても勉強になった。内容が非常に多く頭の中がいっぱい。将来、仕事を選ぶ上で、こういう将来性の高い産業があるということも分かり、役に立った」と感想を述べた。
セミナーではこのほかNEDOスマートコミュニティー部蓄電技術開発室の弓取修二室長が「蓄電池の可能性を極める! 蓄電池開発の最前線をちょっと紹介」と題し、現在開発の中心になっているリチウムイオン電池の蓄電放電の仕組みや課題について話した。
沖縄電力宮古支店業務グループの上原剛リーダーは「宮古の島々へ電気を届けるために」と題して発電から消費者に届くまでの送電システムなどを説明した。
宮古島市エコアイランド推進課の大金修一課長は、環境モデル都市宮古島の取り組みについて「環境対策を軸にした地域活性化やサトウキビによるエネルギー供給など地産地消を中心にした島内でのエネルギーの安定化」などについて話した。