黒糖の需要拡大で連携/県含みつ糖対策協
補正対策費13億円を計上
【那覇支社】多良間村など県内小規模離島7島のみで生産する「含みつ糖(純黒糖)」の生産振興や支援策を話し合う、県含みつ糖対策協議会(会長・比嘉俊昭県農水部長)が8日、那覇市のホテルで開かれ、需要減で在庫量が増大した純黒糖の課題などを協議した。含みつ糖以外の「加工黒糖」の原産地表示を義務化することや、販路拡大策を強化することを確認。県は、現在開会中の県議会に次年度の「含みつ糖生産条件不利補正対策事業費」として13億円を計上したことを明らかにした。
協議会は県、多良間村などの含みつ糖生産離島を抱える5町村長、製糖会社、農協中央会、学識経験者など16人で構成され、需要の伸び悩みによって約4000㌧の在庫を抱えた純黒糖生産の課題について検討協議した。
純黒糖需要減の背景には、黒糖に外国産粗糖などを加えた「加工黒糖」が市場に出回っていることが要因の一つとなっている。
関係団体と県は、消費者庁に対し、加工黒糖の原産地表示義務化と黒砂糖の定義づけを行うよう求めており、同庁は遅くとも8月までには結論づける方向であるとの事務局報告があった。
また、販路拡大策として、「さとうきび増産体制誘導対策事業」のうち、黒糖販売対策事業に1200万円を充当し、5月9日の「黒糖の日」関連事業での県内外イベントを行うほか、新規に「本場の本物黒糖発信事業」として4551万円を計上したことを報告。
さらに、「黒糖による島の恵み発信事業」(仮称)で、黒糖の需給調整および戦略的販売に取り組むため、3億5千万円の予算を要望中であることなどを明らかにした。
多良間村の下地昌明村長は「6日に民主党の岡田幹事長が宮古島を訪問した際、黒糖の生産振興を要請したが、砂糖の種別区分すら知らなかった」と述べ、県も政府与党に対し、しっかりと説明するよう求めた。これに会長の比嘉農水部長は「沖縄政策協議会の場で、改めて説明し、認識を深めるよう求めたい」と答えた。
このほか、同協議会では川満栄長竹富町長が、補助対策だけではなく、「戦略的取り組み策が必要だ」と述べ、黒糖の需要拡大を目指した離島町村の連携などを確認した。