防衛相「下地島を災害支援拠点に」/仲井真知事「正式決定でない」
長濱副市長 県計画との整合性強調
【那覇支社】北沢俊美防衛相は26日、衆院安全保障委員会で、下地島空港をアジア各地で災害が発生した際の災害支援拠点として活用する方向で検討していることを明らかにした。一方、仲井真弘多知事は本紙取材に、「まだ正式決定したことではない」と述べ、同案を慎重に検討する考えであると伝えた。また宮古島市の長濱政治副市長は同空港が県管理であることから、県計画との整合性を強調。同案を積極的に進めたい意向だが、県、市ともに自衛隊の常駐配備については否定的な考えだ。
下地島空港の「災害時緊急支援物資基地」とする活用案は、先月28日に開かれた県・市町村行政連絡会議で、宮古島市側から県への要望として提案があった。
また今月23日に総理官邸で開かれた沖縄政策協議会・米軍基地負担軽減部会で、北沢氏から仲井真知事に対して「後方支援で近隣諸国にも貢献できるので、有効活用してはどうか」と同案についての打診があった。
仲井真知事は26日の本紙取材に対し「県内での国際支援拠点整備の必要性は、21世紀ビジョン基本計画案にも書かれているが、下地島空港に決定した訳ではない」と述べ、米軍普天間飛行場の返還跡利用計画など、複数の案があることを明らかにした。
また仲井真知事は「北沢氏の発言が、どんな構想なのか具体化されていない。自衛隊配備などの防衛論につながるならば、下地島利用を安易に認めることはできない。地元意向も含め、1~2年を掛けて、じっくりと調査する必要がある」と述べ、同氏の発言に対して慎重姿勢で望む考えを示した。
一方、長濱副市長は同活用案について、「県方針と市の方向性が合致するという点で、大いに歓迎できる」としたが、「自衛隊の常駐配備となれば、市民、県民の反対が懸念される」と述べ、県計画との整合性を図りながら積極的に推進したいものの、自衛隊の常駐配備については否定的な考えであることを明らかにした。
県基地対策課によると、2011年度に防衛省が実施する南西地域島しょ部での調査は①陸自沿岸監視部隊配備に関する調査②移動警戒レーダー調査-の二つがあり、監視部隊配備については、宮古、八重山地域としているが、県側に具体的地名などは一切明かされていない。北沢氏の国会答弁は、自衛隊配備の有無をめぐって賛否両論に分かれる気配だ。