台風5号 マンゴー被害は最少/農林水産物
キビは干ばつ傾向解消へ
県宮古農林水産振興センターは25日、台風5号による農林水産物の被害額(速報)をまとめた。宮古地区全体の被害総額は8500万円。このうちサトウキビは葉の裂傷で約7500万円の被害が出ているが、まとまった雨が干ばつ傾向を解消させた。800万円の被害を受けたマンゴーは生産農家による栽培ハウスの防風対策で落果被害を最小限にとどめた。先月末の台風2号の被害総額は26億2800万円(サトウキビ6億2000万円)だった。
台風接近で最も懸念された品目がマンゴー。本格的な収穫、出荷を控えている各農園のマンゴーは果実が肥大化しており、ハウスの揺れに伴って落果の可能性が指摘されていた。
ただ、生産農家が23日から栽培ハウスの補強作業を徹底。ハウスの外側にも内側にもネットを取り付けて万全な防風対策を講じ、落果を最小限にとどめた。
同振興センターの調べで落果は計3㌧、被害額は800万円で食い止めた。
平良東仲宗根で栽培する荷川取勲さんは「台風の被害はほとんどない。風対策でハウスの東と南側にビニールを張り、遮光ネットも広げた。多少の擦れはあるかもしれないが大きな影響はない」と話した。狩俣のマンゴー農園代表の下地正作さんは「ハウスのネットを二重にしているので、風による被害はほとんど出ていない」と語った。
ただ、風で揺れた果実が袋とこすれて傷付いている可能性は否定できない。上野宮国でマンゴーを栽培する上地登さんは「昨夜の風が強くて心配したが落果の被害はほとんどない。あとは傷の心配だけ。これだけは袋を取ってみないと何とも言えない」と話した。
こすられた部分は黒ずんで商品価値が低下する。マンゴーは先月末に接近した台風2号の強風にもさらされており、同振興センターでは全体の3割程度が傷付いていると指摘している。
ただ上地さんは「傷の心配は残るが、防風対策次第では大きな被害を招かないことを確認できた。台風が来ても大丈夫ということは産地の信頼につながる」と前向きに捉えている。
一方、台風2号に続く被害が懸念されたサトウキビだが、生産者や糖業関係者は「恵みの雨になった」と口をそろえる。24日午前5時から25日午後1時までの降水量は平良下里で85・5㍉を観測した。そのほかの地域は▽平良鏡原87・5㍉▽城辺79・5㍉▽下地島空港53・5㍉▽多良間仲筋41㍉-となっている。
この雨量に城辺長間の石垣精一さんは「干ばつ気味だったところに、良い雨が降った。葉が裂けるなどの被害も少ない。サトウキビ農家にとっては、恵みの台風」と喜んだ。城辺友利の前里定広さんは「今のところ被害はないが今後の塩害が懸念される。台風の後は雨がほしい」と期待した。
マンゴー、サトウキビのほかオクラで計4㌧、210万円の被害があった。