79件38億円を繰り越し/市10年度事業
農水費7億、土木費8億5000万円
開会中の宮古島市議会6月定例会に提出された報告書の中で、宮古島市の2010年度繰り越し事業件数が分かった。全体の件数は79件、金額にして38億1100万円が11年度に繰り越されている。国の予算成立時期の遅れや農地基盤整備に関する受益農家との交渉の難航、物件補償交渉の長期化などが要因。農林水産費は7億1000万円、土木費は8億5000万円を繰り越している。
全体繰り越し事業件数の42%(33件)を占めているのがきめ細かな交付金を活用する事業だった。同予算は10年11月26日の補正予算で成立しているため、3月末までの年度内事業執行は不可抗力だった。
具体的な事業名と予算額は▽次世代を担う子どもを守る予防接種(1億450万円)▽一般廃棄物処理施設改修(1400万円)▽土地改良施設等改修(5000万円)▽海中公園農林水産物直売施設整備(2500万円)▽宮古花の王国造成(3000万円)▽通り池トイレ施設整備(2900万円)-など。
農林水産費では、農地の基盤整備で入江西地区5200万円、ピサタ地区1700万円、皆福地区1億2500万円などの予算執行を繰り越した。大野地区では5900万円、南方原地区では4800万円をそれぞれ繰り越している。
繰り越し理由について農水部は▽地主との境界確認▽降雨による工事の遅れ▽サトウキビ収穫に関する農家との調整▽用地交換をめぐる地主との交渉難航▽地主の作付け調整-などを挙げている。
土木費ではパイナガマ公園整備事業で3000万円を繰り越し。理由は「近隣住民との調整、園路工事等の協議、申請許可に不測の日数を要した」と説明している。カママ嶺公園整備事業の繰越金額は1億円。理由は「情報収集や修正設計に不測の日数を要した」などとしている。
市道下里通り線道路改築事業では、補償交渉に日数を要して2億3200万円を繰り越した。
教育費関係でも複数の繰り越し事業があり、池間小中学校校舎改築で2億7300万円、平良中学校校舎改築で3億6300万円が繰り越された。市立図書館整備事業にかかる繰り越し金額は2300万円。
市総務部の安谷屋政秀部長は「原則として年度内執行が望ましいが、農家、市民の皆さんとの交渉が長引くこともあり、強制執行は難しい。できるだけ市民の皆さんに納得してもらった上で事業執行したい。繰り越しが11年度事業に影響を与えることはない」などと話し、理解を求めた。