「基本法が形がい化」と指摘/全国病療養所連絡協
南静園で意見交換
全国ハンセン病療養所所在市町連絡協議会(会長・渡部尚東京都東村山市長)は8日、宮古南静園で入園者自治会(宮里光雄会長)と意見交換した。協議会では、今後の活動に生かしていく方針。
新城日出郎園長は「南静園に勤務して今年で15年。これからの課題は、入所者たちが孤立しないで、安心して老後を過ごせるかということ」と述べた。
宮里会長は、歓迎の意を表した上で「ハンセン病問題基本法は2008年6月18日に制定され、09年4月1日から施行した。基本法の理念と目的に形がい化が始まっているのではないか。療養所の職員は入園者の生活に大きな機能を果たしているが、国は職員定数の削減を進めている」と指摘した。
その上で「将来構想で、今後どのようにして地域に開放していくのか。国がやるという考えもあるが、これでは進展がない。地域が主体的に積極的に関わって共生してもらいたい。現在の施設は地域との共生型施設」と述べた。
宮古退所者の会の知念正勝代表は「全国には約1300人の退所者がおり、県内では約500人がいる。このうち宮古には60人ほどいるが、偏見・差別の影響で社会の片隅に住み、社会の表に出てこない。退所後、結婚した人もいるが、結婚相手と子供、孫にもまだ自身のことを伝えていない人もいる」と説明した。
参加者らは、意見交換に先立って納骨堂で献花を行い、冥福を祈った。