下地島空港内を農薬散布へ/市、県、製糖工場が合同で
バッタ発生源の草地270㌶
伊良部の下地島でサトウキビに食害を与える害虫トノサマバッタが異常発生している問題で県と市、宮古製糖伊良部工場などの関係者らは28日までに会合を開いた結果、30、31の両日、バッタの発生源である下地島空港滑走周辺の草地約270㌶で大掛かりな農薬散布を実施することを決めた。草地では幼虫バッタが無数に発生しており、農薬散布による根絶でキビ畑への飛散防止を図る狙いがある。合同で農薬散布に乗り出すのは初めてとなる。
空港内の草地では、農薬スミチオン乳剤を水に混ぜて使用する計画。県は「散布した農薬が雨で水路を流れ、漁場を汚染するのでは」と懸念。このため、市は三漁協(伊良部、宮古島、池間)から農薬使用を認める承諾書を取り付けた。
今月19日、バッタが滑走路周辺から空港フェンスを越え、キビ畑で発生しているのが初確認された。20日からバッタは異常発生。宮古製糖伊良部工場は、市やJAおきなわ宮古伊良部支店などの協力を得て、大型送風散布機(スーパーパウダー)を導入し農薬散布を展開している。
バッタは隣接するキビ畑や農道の草地に次々と移動。雌雄は交尾を繰り返しながら急拡大した。同工場は28日までに、下地島の農地総面積約200㌶のうち、キビ畑約130㌶の全域でバッタの発生を確認した。20日から毎日午前9時~午後6時まで農薬散布を実施している。
空港内での農薬散布は、約20人が参加する予定。2日間で完全散布ができない場合は、8月1日も実施する見通し。
市伊良部農林水産室の村田正健室長は「バッタの発生源で根絶させることでキビの安全が確保できる」と強調した。
同工場は「発生源で根絶しない限り、農薬散布作業の打ち切りにはめどが立たない」と話し、早急の根絶に期待を込めた。