汚泥からメタンガス抽出/発電利用へ新展望
市浄水管理センター 実証プラントが完成
財団法人・南西地域産業活性化センターなどが建設した「亜臨界水処理によるメタン発酵実証プラント」が市浄水管理センター内に完成し2日、下地敏彦市長らを招いてお披露目した。下水汚泥を高温・高圧の熱水(亜臨界水)で微細化し、メタン発酵をしやすくする装置。生成したメタンは発電に利用が可能で、見過ごされてきた汚泥の有効利用に展望が開けた。
市上下水道部によると、浄水管理センターの年間の電気料金は1700万円余に上る。
下地市長は、プラントが実用化された場合のメリットとして①センター内電気料金の低減②臭気と水分が取れた発酵汚泥残さの堆肥化を挙げた。その上で「環境モデル都市にふさわしいプラントになり得る」と期待した。
実証プラントは、活性化センターと日陽エンジニアリング(本社埼玉県、古山富夫社長)などが共同で設置した。
実証試験の期間は、1年間で①単位汚泥当たりのメタン発酵量②発電可能量②システムの稼働状況-などを調査する。
同プラントでは水の温度・圧力を160度・5気圧に上げ、亜臨界水処理をしている。同処理は、有機物を単糖類やアミノ酸類などに分解し、メタン発酵をしやすくするのが特徴。同処理によるメタン発酵菌の消化率は80%と従来の50~60%と比べて高く、メタンを取り出すまでの期間も「30~45日」から「15~20日」に短縮されるという。
亜臨界水処理実証事業は、エネルギーの地産地消を目指す事業に位置付けている。日陽エンジニアリングによると、亜臨界水処理技術は、牛ふんやバガスなどにも活用できるなど応用範囲は広い。