遺族に捜査結果報告/アトール前死亡事故
県警と宮古島署
2008年にホテルアトールエメラルド宮古島前で発生した交通死亡事故で亡くなった男子高校生(当時17歳)の遺族に対し、県警本部と宮古島警察署は3日、遺族に対して捜査結果報告を行った。
警察の報告を受けた遺族は本紙の取材に対し「こうした状況になったことに対する警察としての謝罪はなかった。『申し訳ありませんでした』の一言もなかった。事故当時誰が運転してかも分からないままで警察側の説明には納得できなかった」と話した。同日午後2時すぎに県警本部交通指導課の職員1人と宮古島警察署交通課と警務課の署員2人が遺族宅を訪問し、捜査結果を報告した。
遺族によると、捜査は打ち切りとなり、事故当時運転していたのは母親であることを再度説明した。
亡くなった高校生の母親は「再捜査も母親が運転していたと決めつけて進めたと思う。事故当時誰が運転していたかも分からないでは私の息子が誰に殺されたも分からないままとなってしまった」と述べた。
この事故は08年11月30日に平良下里の国道390号で発生。軽自動車とオートバイが衝突し、オートバイの後部座席に乗っていた男子高校生が死亡。
酒気帯びで軽自動車を運転していたとする女性が自動車運転過失致死と道路交通法違反の罪に問われた。
一審では懲役3年の実刑判決を受けたが、控訴審判決で「合理的な疑いが残る」と判断され無罪となった。
この無罪判決を受け、福岡高検那覇支部が上告を断念。上告断念でこの女性の無罪が確定した。
その後、県警が再捜査を行ったが「新たな被疑者なし」との結論となり、事故当時車を運転していたのは無罪判決を受けた女性だったとの結論となった。
有罪、無罪または免訴の判決が確定した事件については、刑事訴訟の原則(一事不再理)で再び審理をすることはないことから、亡くなった高校生の母親がこの女性に対して計3180万円余の損害賠償を求めて那覇地裁平良支部に提訴した。
先月末に被告の女性が遺族側請求額の支払いを認めたため、同損倍訴訟は確定し終結した。
無罪判決女性遺族に謝罪文
ホテルアトールエメラルド宮古島前で発生した交通死亡事故で、亡くなった男子高校生(当時17歳)の遺族に対して、この事故の裁判で無罪判決を受けた女性が弁護士を通じて遺族に謝罪文を出していたことがわかった。
遺族によると謝罪文は先月25日に遺族側弁護士に届けられた。
亡くなった高校生の母親は「弁護士から5枚の謝罪文が届いていると言われたが、まだ読めるような状況ではないので読んでいない。『自分がやりました』との内容みたいだがそれを読んで何をどうしたらいいのかまだ分からない」と話した。