犬の咬傷事故が増加/10年度度宮古福祉保健所まとめ
31件、違法犬捕獲は216匹
放し飼い 依然多く
捕獲された違法犬216匹のうち、飼い主に返還されたのが42匹、別の飼い主に引き取られたのが7匹、けがや病気などで死んだのが6匹で、残りの150匹余りは県動物愛護管理センター(南城市)へ移送され殺処分などにされた。
保健所では捕獲した犬は5日間(休日、祝日除く)は同所で保護し飼い主や「里親」が現れるのを待つが、ほとんどが飼育放棄された犬のため、引き取られていくのは全体の2割程度という。
宮古島市における犬の登録件数(10年度)は1663件で年々増えている。一方で、飼い主に毎年一回義務づけられている狂犬病の予防注射は、同年度の実績で1195件となり、義務を果たしていない飼い主が多いことも浮き彫りとなった。
犬にかまれけがをした人も年々増加している。同所では「咬傷事故はほとんどが飼い犬によるもので、野犬はむしろ少ない」と指摘。飼い犬に手を出してかまれたり、配達や訪問の際に襲われるケースが多いことから同所では「しつけや飼い方など、飼い主側の意識の向上で咬傷事故を減らすことはできる」と話している。
放し飼いや野犬によるふんの苦情やごみ荒らし、鳴き声がうるさいなどの苦情も多く寄せられている。通学路を集団ではいかいする野犬も見られ、保護者などから捕獲を求める声もある。ヤギや子牛、ニワトリなどの家畜被害も10年度だけで19件発生している。
同所では依然として放し飼いが多い現状を指摘。野犬化につながる恐れや、避妊・去勢していない犬、猫が、新しい野良犬、野良猫を増やす傾向にあることから、繁殖を望まない飼い主には避妊・去勢手術の徹底を呼び掛けている。
犬、猫の避妊・去勢手術は、体型や種類によって違うが一般的には雌犬が2万5000円~3万円程度。雌猫が1万5000円程度という。
市や県獣医師会では、動物愛護思想の普及啓発事業の一環として避妊・去勢手術の費用の一部を助成している。
しかし、市内動物病院では「犬の登録件数は増えているが、手術件数については増えているとは思えない」と話し、飼い主の適正管理が課題だとしている。