首相「県内移設」表明/知事に県外断念伝える
普天間移設、県民負担に陳謝
【那覇支局】鳩山由紀夫首相は4日、就任後初めて来県し、米軍普天間飛行場の移設先について、仲井真弘多知事と会談した。鳩山首相は「すべてを県外にというのは現実問題として難しい」と普天間の全面的な県外移設を断念することを伝え、県内移設への理解を求めた。また国外移設については「日米の同盟関係、近隣諸国との関係を考えた時、抑止力という観点から難しく、現実には不可能だ」と明言した上で「沖縄の皆さま方にも、またご負担をお願いしなければならない」と述べ陳謝した。
来県した鳩山首相は同日午前9時すぎに自衛隊機で那覇空港に到着。糸満市摩文仁の国立戦没者墓苑で献花した後、県庁で仲井真知事と会談した。普天間の移設先について具体的な場所や方法は提示しなかったが普天間の全面的な県外移設の難しさを強調し、事実上の県外全面移設を断念したことを伝え、県民に対して「沖縄の人々におわびしたい」と述べた。首相自らが県内移設に言及するのは初めて。
これに仲井真知事は4・25県民大会の様子を説明し「県外移設の実現を期待する県民の声が高まっている。県民の声を真摯に受け止め、危険性除去に取り組んでほしい」と述べ、「政権公約に沿った満足、納得いく解決策を、ぜひ示してもらいたい」として県内負担には応じない考えを示し、県外移設を追求してもらいたいとの意向を表した。
また仲井真知事からは①在沖米軍基地問題の抜本解決②沖縄基地負担の大幅な軽減③在沖米軍基地の整理縮小④日米地位協定の抜本見直し⑤嘉手納以南の米軍専用施設の早期返還⑥鳥島射爆撃場など訓練区域の海域、空域制限区域の返還-などの要望があった。
知事会談を終えた鳩山首相は県議会に赴き、高嶺善伸議長らと面談。その際「徳之島の皆さまにも」と口を滑らせ、報道で明らかとなっている普天間の一部部隊や訓練移設の徳之島案があることが明らかとなった。
会談後、鳩山首相は記者団に「沖縄の中に一部機能を移設せざるを得ないことに理解いただけないかと知事に申し上げた」と述べた。
現在、政府は名護市辺野古キャンプ・シュワブ沿岸部を埋め立てる現行案を「くい打ち桟橋(QIP)方式」に修正することや徳之島などへの一部訓練や機能移転を検討しているが、鳩山首相は「まだ完全な政府案としてまとまっていない」として移設先や工法などに関する具体的な明示を避けた。